「綺語」の字音については、中世ごろまでは漢音の「キギョ」が普通のようであるが、江戸時代の後半からは呉音で「キゴ」と読まれる例も多くなる。
→「きょうげんきご(狂言綺語)」の語誌
〈綺語〉は〈きぎょ〉とも読む。道理にそむいた言葉と飾り立てた言葉の意味だが,詩歌,物語,管弦,音曲などをいうのに用いる。《法華経》安楽行品に〈世俗の文筆,讃詠(うた)の外書〉をつくる者と交際するなといわれているように,狂言綺語をもてあそぶことは,妄語戒を破り,仏の教えに背く行為と考えられた。しかし,一方では《涅槃経》に〈麁言(あらあらしい言葉)及び軟語(柔和な言葉),皆第一義に帰す〉ともあって,狂言綺語も真実を示す方便とも考えられた。後者の立場を明確にあらわしたのは《白氏文集》の〈願わくは今生世俗文字の業(ごう),狂言綺語の誤りをもって,翻えして当来世々讃仏乗(仏の教えをたたえる)の因,転法輪(仏の教えをひろめる)の縁とせん〉の一句であった。日本でも平安時代の中期以降,慶滋保胤(よししげのやすたね)や源信を中心とする勧学会に集まる人々にこの句が尊重され,《和漢朗詠集》にも編入されてこの考え方が普及した。
執筆者:山本 吉左右
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… この間,1178年(治承2)家集《長秋詠藻》を自撰して守覚法親王に献呈,97年(建久8)には歌論書《古来風体抄(こらいふうていしよう)》を献進(1201年改訂),晩年の和歌観を吐露した。俊成はここで天台止観によそえて和歌の変遷を内観し(最初の和歌史観),浮言綺語(ふげんきぎよ)の和歌が仏法悟得の機縁たりうるという新価値観(狂言綺語観)を提示し,さらに《古今集》を歌の本体と仰ぐ伝統観(古典の定立)を述べる。俊成の新風は広義の幽玄体といわれ,幻想的な詩趣と優美な声調の調和の中に,陰翳(いんえい)のふかい耽美的情念を流露させ,抒情の世界に余情の新領域をひらいた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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