明治初年の立法機関。1868年(慶応4)閏(うるう)4月21日、維新政府は五か条の誓文の精神に基づいて政体書を公布、太政官(だじょうかん)を復興するとともに、三権分立の方針を明らかにし、立法機関として議政官を設置した。議政官は上局(じょうきょく)と下局(かきょく)から構成されており、重要な布告、法制などは議政官の決定をまって行政官が布達することとなっていた。上局は、上級廷臣、諸侯などからなる議定と、下級廷臣、西南雄藩の有力藩士からなる参与により構成され、下局は、各藩から選出された貢士(こうし)を構成員としていた。議定、参与の多くは行政官を兼任していたので、上局は半年足らずで消滅した。5月28日下局は貢士対策所として実施され、翌69年(明治2)5月13日に議政官が廃止されたあと、その任務は公議所、集議院へと引き継がれた。
[井上 勲]
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明治初年の政府の立法諮問機関。1868年(明治元)閏4月,政体書の発布により太政官の権力を立法・行法(行政)・司法にわけ,立法をつかさどる機関として設置された。上局と下局にわかれる。上局は議定(ぎじょう)・参与らにより構成され,政体の創立,法制の造作,条約の締結,宣戦・講和などについて審議する。下局は議長を行政官の弁事が兼任し,各府県・諸藩から差しだした貢士を議員として,上局の命をうけ,租税制度,貨幣の鋳造,条約の締結,宣戦・講和などについて審議するものとされた。しかし実際には議政官の上局は行政官と一体化し,立法諮問機関としての機能を発揮しないまま68年9月に廃止され,69年4月いったん復活したが,5月に廃止となった。
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…貢士はいわば藩の代表として議事に参加するわけであるが,才能によっては徴士に昇格することもあった。同年閏4月21日政体書が発布され,議政官が設けられ,上局・下局が設けられると参与でもあった徴士は議定とともに上局を構成し,下局は議長2名のほか貢士を議員として構成された。下局は上局の命を受け租税,駅逓,造幣,度量衡,条約,通商,拓彊,宣戦講和,警察,軍事,各藩間の訴訟を扱ったが,立法機関としての独自性は弱かった。…
…神祇官は,官庁の名称は同じ〈官〉であるが,これも統轄下に置かれていた。その組織は,議政官組織,少納言局,左右の弁官局の三つからなる。 (1)議政官組織を構成する官職は太政大臣(定員1,ただし本来は具体的な職掌をもたない天子輔導の官),左大臣・右大臣(各定員1),大納言(定員4,のち2となる)だが,8世紀はじめに令外官(りようげのかん)の中納言(定員3)と参議(はじめ定員なし,9世紀から8となる)が加わり,平安時代にさらに内大臣が加わった。…
※「議政官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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