氷河表面の割れ目。氷河は塑性変形によって流動するが、流速の違いによって生じる引張り応力が氷河の引張り強度を超えると、氷河は塑性を失って割れる。できたばかりの割れ目は数ミリメートルほどの幅であるが、しだいに広がり数メートルにも達する。深さは一般に約30メートルが限界とされているが、これより深くなる場合もある。
氷河上での分布形態によって、側縁クレバス、横断クレバス、縦クレバス、放射状クレバスに分類され、氷河の応力状態を反映して規則的に配列する。アイスフォールなど傾斜の急変部や、屈曲部、谷壁の近くなどに生じやすい。氷河の最上流部で、カール壁との間に生じるクレバスは、とくにベルクシュルントBergschrund(ドイツ語)とよばれる。また、氷河や雪渓の側縁部と谷壁の岩盤との間には、ラントクルフトRandkluft(ドイツ語)とよばれる空隙(くうげき)がみられるが、これは岩盤が熱せられるために、氷河や雪渓の周縁部が溶けて生じたものであり、クレバスとは区別される。
[小野有五]
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… グリセードglissadeピッケル,杖などで制御しながら,堅雪の斜面を靴で滑り降りる技術。 クレバスcrevasse氷河上の亀裂。 ケルンcairn積み石,記念塚。…
…流動は塑性変形に由来するほか,摩擦熱などのために底面に水が存在するようなときは,底面滑りの割合がとくに大きいといわれている。流動に伴い氷が過度のひずみを受けると,伸張によって破壊され,深い割れ目クレバスcrevasse(フランス語)が形成される。その極端な場合が氷瀑(アイスフォールicefall)である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」