象牙の塔(読み)ゾウゲノトウ

デジタル大辞泉の解説

ぞうげ‐の‐とう〔ザウゲ‐タフ〕【象牙の塔】

《〈フランス〉tour d'ivoire芸術至上主義の人々が俗世間を離れて楽しむ静寂・孤高の境地。また、現実から逃避するような学者の生活や、大学の研究室などの閉鎖社会。フランスの文芸評論家サント=ブーブビニーの態度を評した言葉で、厨川白村(くりやがわはくそん)がこれを紹介した。

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大辞林 第三版の解説

ぞうげのとう【象牙の塔】

フランス la tour d'ivoire サント=ブーブが詩人ビニーを評した語〕
芸術を至上のものとして現実から逃避する孤高の立場・境地。また、現実を踏まえない学究生活や研究室。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

象牙の塔
ぞうげのとう
la tour d'ivoireフランス語

文芸批評家サント・ブーブが詩人ビニーの芸術姿勢を批評したことば。「象牙の塔にこもる」という表現で、芸術家、学者が現実逃避的態度で自己の理想にこもり、芸術または学問三昧(ざんまい)にふけることを意味する。もともとは「あなたの頸(くび)は象牙の塔のようである」(『雅歌』7章4節)と女性の美しさをたたえることばで、サント・ブーブによって転意して伝えられている。[船戸英夫]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぞうげ【象牙】 の 塔(とう)

(la tour d'ivoire の訳語) 俗世間を離れて、もっぱら静寂・高逸な芸術を楽しむ芸術至上主義の境地。また、学者が、現実を逃避して観念的な態度で送る学究生活やその研究室。
※近代文学十講(1912)〈厨川白村〉四「所謂『象牙の塔』のなかに隠れて現代生活を忘れようとする」
[語誌]原語の la tour d'ivoire は、フランスの批評家サント=ブーブが詩人ビニーの態度を評した語だが、旧約聖書の雅歌七章四節にも見える。日本では、大正九年(一九二〇)刊厨川白村の評論集「象牙の塔を出て」によって一般に広まった。

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世界大百科事典内の象牙の塔の言及

【アカデミズム】より

…そこでは,学問研究の自由が保障され,アカデミック・フリーダム(学問の自由)の観念もしだいに定着していく。他方で,世俗を離れての,真理のための真理探究の精神態度は,現実との接点を失って高踏化し,その権威に安住して学問至上主義的独善的態度も生まれ,〈象牙の塔ivory tower〉にこもっての抽象的空論や衒学(げんがく)的態度が目だつようになってくる。それはまた,学問研究を保守的にし,若い世代が新しい課題に創造的・意欲的に取り組むことをさまたげることにもなった。…

※「象牙の塔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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