地方公共団体の財政が多額の赤字を生じ,自力再建が困難となった場合,地方財政再建促進特別措置法(略称,再建法)により,一定条件のもとで国からの援助を得ることができる。第2次大戦後の復興期には,財政需要の急増と財源不足という基本的背景に朝鮮戦争後の不況の影響が加わり,1954年度には全地方公共団体の38.5%が赤字団体に転落した。この地方財政の窮乏を打開するため55年に制定されたのが再建法であり,その規定は以後の赤字団体にも準用されている。この再建法に基づいて国からの援助を認められた赤字団体が財政再建団体である。とくに,再建法の直接の適用対象となった1954年度の赤字団体と準用対象となった55年度以降の赤字団体とを区別する際には,前者を適用団体,後者を準用団体と呼ぶ。
赤字団体が財政再建団体の指定を受けるためには,自治大臣に申し出て財政再建計画を策定し,その内容について承認を得なければならない。この財政再建計画は,ほぼ7年度以内の収支均衡をめどとして定めるものとされており,人員の削減,給与水準の適正化等の経費節減と,地方税・使用料等の増徴に関する具体的施策が求められる。他方,国からは,適用団体に対して財政再建債発行の承認,その利子補給,国庫補助負担率のかさ上げ等の優遇措置が施され,準用団体に対して政府資金の短期融資と特別交付税(〈地方交付税〉の項参照)による利子補給,地方債の発行に関する制限緩和といった助成措置が講じられている。1954年度の赤字団体のうち18府県570市町村が再建法の適用を受けたが,高度成長にも支えられて,70年度末までに全団体が再建を完了している。また準用団体は当初8市町村であったが,1959年度に激増し,その後漸減して94年3月現在では1団体となっている。
執筆者:大川 政三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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