デジタル大辞泉 「賄」の意味・読み・例文・類語 まい‐ない〔まひなひ〕【▽賄/▽賂】 神への捧げ物や人に贈る金品。また、賄賂わいろをいう。[類語]賄賂・袖の下・裏金・鼻薬・リベート・コミッション・贈賄・収賄・実弾 わい【賄】[漢字項目] [常用漢字] [音]ワイ(慣) [訓]まかなう まいなう まいない便宜を得るため不正に贈る金品。「賄賂わいろ/収賄・贈賄」 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「賄」の意味・読み・例文・類語 まか‐ない‥なひ【賄】 〘 名詞 〙 ( 動詞「まかなう(賄)」の連用形の名詞化 )① 貴人の身辺などをととのえ、世話すること。[初出の実例]「上臈御まかなひにさぶらひ給ひけるままに、ちかうゐ給へり」(出典:枕草子(10C終)一八四)② 食事や宴などの用意をすること。また、その人。[初出の実例]「そのすまひの日、〈略〉あしたの御まかなひには仁寿殿女御、ひるのまかなひには〈略〉承香殿の女御」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)③ 給仕をすること。また、その人。陪膳。[初出の実例]「みぐしあげまゐりて、蔵人ども、御まかなひの髪あげてまゐらするほどは」(出典:枕草子(10C終)一〇四)④ 武家の職制で、膳所および奥・表台所を支配し、主に食事を供給する役。[初出の実例]「恩斎と申ものまかなひの人、時々しかられければ」(出典:随筆・戴恩記(1644頃)上)⑤ 間に合わせること。とりつくろい。[初出の実例]「諸事を春の事とてのばし、当分のまかなひばかりにくれければ」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)三)⑥ 費用を出すこと。また、家計などのきりもりをすること。出費。[初出の実例]「公儀・国方のまかない、家別・屋別、ときならぬ出銭・くくり事、何しらずになりて」(出典:本福寺跡書(1560頃)妙専尼懐妊夢相之事)⑦ 下宿や寮などで出す食事。また、それを調理する人。[初出の実例]「早くいかないと、賄(マカナヒ)の食を喰ひ損ふぜ」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉二)⑧ 江戸時代、品川の遊里で、やり手のこと。[初出の実例]「爰ではやりての事をまかないと申ます」(出典:黄表紙・京伝憂世之酔醒(1790)) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「賄」の読み・字形・画数・意味 賄常用漢字 13画 [字音] ワイ・カイ(クヮイ)[字訓] おくる・まいない・たから[説文解字] [字形] 形声声符は(有)(ゆう)。は肉を手にもつ形で、「侑(おく)る」意がある。〔説文〕六下に「財なり」とあり、〔詩、衛風、氓〕「爾(なんぢ)の車を以て來(きた)れ 我が賄を以てらん」の〔伝〕に「財なり」という。人に贈ることを本義とし、〔左伝、文十二年〕「厚く之れに賄(おく)る」のように用いる。〔左伝、襄二十八年〕「事を先にして賄を後にするは、禮なり」とあって、謝礼として贈るのはよいが、〔左伝、昭六年〕「亂獄(ますます)豐(おほ)く、賄賂竝びに行はる」のように、請託は賄賂にして不正なるものとされた。[訓義]1. おくる、謝礼としておくる、まいないとしておくる。2. まいない、わいろ。3. たから。[古辞書の訓]〔名義抄〕賄 オクル・タカラ 〔字鏡集〕賄 オクル・マヒナヒ・タカラ[語系]賄xuiは・右・宥hiuと声義の関連がある。は肉を以て侑(すす)める意。賄は財を以て侑めることをいう。神の心をうることを宥といい、佑助を右という。本来は神意を和らげるために、神に侑める意である。[熟語]賄遺▶・賄貨▶・賄交▶・賄謝▶・賄嘱▶・賄贈▶・賄託▶・賄脱▶・賄買▶・賄免▶・賄賂▶[下接語]貨賄・姦賄・賄・行賄・厚賄・坐賄・財賄・市賄・資賄・収賄・贈賄・贓賄・貪賄・徴賄・通賄・贖賄・納賄・用賄・容賄・労賄 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報