資財帳(読み)しざいちょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

資財帳
しざいちょう

寺院の資産を記した帳簿。資財帳の前部にその寺院の縁起が記されていたので,『寺院縁起并資財帳』とも呼ばれた。奈良平安時代,寺院の資財が僧侶や檀越 (だんおつ) によって散逸するのを防止するため,律令政府は霊亀2 (716) 年以来,毎年官大寺定額寺に命じて作成することにした。平安時代には国司の交代する6年に1度,のちには4年ごとに作成された。寺院の縁起,敷地建物,仏像,経典,仏具,雑具,稲穀,米銭,財物,寺領,住僧奴婢 (ぬひ) の数量などがこと細かく記載され,ことに後代まで伝えられる資財帳を流記といった。現存最古のものは天平 19 (747) 年につくられた大和国大安寺法隆寺元興寺のものである。律令制の弛緩によって,平安時代中期以後は次第に作成,提出されなくなったが,寺院,神社などで私的な資財帳としての財産目録が作成された。

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デジタル大辞泉の解説

しざい‐ちょう〔‐チヤウ〕【資財帳】

奈良・平安時代、国家がその管理下の寺院に提出させる財産目録。各種財産のほか縁起も記載した。

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百科事典マイペディアの解説

資財帳【しざいちょう】

正式名称は〈伽藍縁起並流記資財(がらんえんぎならびにるきしざい)帳〉。奈良時代に国家が官大(かんだい)寺・国分寺・定額(じょうがく)寺の財産を把握するため作成させた目録。縁起の付属したものが多い。716年以来毎年作成され,のちに年毎ではなくなったが平安時代にも作成された。残存するものは少なく,747年の奈良元興(がんごう)寺のものなどが著名。→官寺

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世界大百科事典 第2版の解説

しざいちょう【資財帳】

正式の名称は,〈伽藍縁起幷流記資財帳(がらんえんぎならびにるきしざいちよう)〉といい,奈良時代,寺院の建物や宝物,すなわち仏像,絵画,仏典類(その寸法,員数まで記述している)から日常用具,所領,穀稲,奴婢などの財産を細大もらさず書きあげた目録である。伽藍とは建物,縁起とは創立の由緒のことをいう。道具類はその使用目的によって,仏物(仏分ともいい,仏菩薩供養に用いられるもの),法物(法分ともいい,箱,机,櫃など仏典保持,供養に使用されるもの),僧物(僧侶が生活するために用いたもの),通物(通分ともいうが,仏・法・僧3者共通して使用するもの)に大別して記載されている。

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大辞林 第三版の解説

しざいちょう【資財帳】

律令政府が官大寺・定額寺じようがくじに上申させた財産目録。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

資財帳
しざいちょう

日本古代の寺院の財産目録。寺院縁起(えんぎ)をあわせて縁起并(ならびに)資財帳の形式をとるものも多い。仏像、経典、堂舎、仏具、寺領などが詳細に記され、寺院経済史、仏教史、美術史などの基本史料。律令制(りつりょうせい)下では寺院の一定程度の自治が認められていたが、寺院財産は資財帳により政府に掌握されていた。寺家の僧綱(そうごう)あての牒(ちょう)、実録帳など多様な文書形式がある。写本・原本が現存するものは747年(天平19)の元興寺(がんごうじ)(抄本)、大安寺、法隆寺の『伽藍(がらん)縁起并流記(るき)資財帳』から、1094年(嘉保1)ごろの『観世音寺(かんぜおんじ)資財帳』まで20通前後がある。ほかに『法隆寺東院資財帳』(763)、『広隆寺縁起資財帳』(873)、『観世音寺資財帳』(905)、『四天王寺縁起』(1007ころ)が著名である。[石上英一]

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