奈良市五条町で焼かれた焼物。赤膚焼の名は、五条山の別名赤膚山に由来し、五条焼ともいう。遠州七窯(えんしゅうなながま)の一つ。奈良市西京丘陵地帯は古来焼物の盛んな地で、平安京の瓦(かわら)をはじめ、中世では春日神人(かすがじにん)の赤白土器座の土器、火鉢、また茶の湯創始以降は土風炉(どぶろ)(奈良風炉)の製作などがなされていた。赤膚焼はこうした地に、初め天明(てんめい)年間(1781~1789)に民窯(みんよう)として興り、1796年(寛政8)ごろに大和郡山(やまとこおりやま)藩主柳沢堯山(ぎょうざん)が京都から召した陶工伊之助、治兵衛に五条村赤膚山に開窯させ御用窯とし、のちふたたび民窯に戻った。天保(てんぽう)年間(1830~1844)に郡山の名工奥田木白(もくはく)が京焼の作風を取り入れ発展させた。赤膚焼は赤みがかった乳白色の素地をもち、能人形、奈良絵の色絵陶に優れた作品が多い。
[矢部良明]
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…秋篠川に沿い,薬師寺,唐招提寺,喜光寺,西大寺などがある。西方の西ノ京丘陵は,京都盆地西部から奈良盆地西部に南北につらなる丘陵で,五条山では江戸時代以来の赤膚(あかはだ)焼の陶器製作が行われている。西ノ京付近は古くより土器や瓦の生産地であり,興福寺大乗院に属した火鉢造座などがあり,近世,奈良風炉(ふろ)の産地として知られた。…
※「赤膚焼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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