抹茶,煎茶をとわず,喫茶に必要な器具の総称。ここでは茶席で用いられる表道具に限定していう(表参照)。これらの道具は,しばしば美術品として茶席において鑑賞に供し,それが客を招く目的にもなる。
種類としては次のように大別できる。(1)点前道具 点茶および炭手前のために直接必要な道具。(2)飾り道具 書院や違棚などの装飾に必要な文房具,巻物,書籍など。(3)懐石道具 懐石に用いられる食器道具,照明具一式。(4)腰掛・露地道具 腰掛で用いられる円座,露地で使われる水桶,露地笠,露地下駄などの備品。(5)水屋道具 勝手で使う水甕,茶篩(ちやぶるい)のほか,茶巾(ちやきん),茶筅(ちやせん)など消耗するものも含む。
以上の道具類はそれぞれ茶室と点前の様式,炉と風炉(ふろ)の区別により使用が弁別される。また洋間や屋外のための立礼(りゆうれい)器具(御園棚ほか)や,野点用具(旅簞笥,茶箱,茶籠)も広義の茶道具といえる。
→茶道(ちゃどう) →点前
執筆者:戸田 勝久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…その後,《三十六人集》や堆朱盆の名品などの東西両本願寺の収集,多くの献上品を主とした徳川将軍家の〈柳営御物〉などがある。江戸時代以降は各地の大大名によって茶道具や古書画の収集が行われ,加賀前田家の茶道具,工芸品のほか雪舟や宗達の絵画に及んだ大収集,肥後の細川家,長州の毛利家などの収集も,ある程度は今日まで伝えられている。こうした中で,江戸時代を通じてもっとも精選された茶道具の収集は,出雲松江の藩主松平治郷(不昧)によるものである。…
※「茶道具」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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