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当事者主義 とうじしゃしゅぎ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

当事者主義
とうじしゃしゅぎ

訴訟当事者の主張,立証を基本として訴訟が行われる制度。裁判所の積極的な事実探求を基本とする職権主義に対する。現行刑事訴訟法は,検察官に訴因を明示する責任を負わせ (刑事訴訟法 256) ,証拠調べにつき当事者の請求を基本にする (298条) など,当事者主義を原則としているが,他方,裁判所に訴因変更命令の権限を認める (312条2項) など,これに徹していない面もある。

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デジタル大辞泉の解説

とうじしゃ‐しゅぎ〔タウジシヤ‐〕【当事者主義】

訴訟の主導権を当事者にゆだね、裁判所は中立的な審判者としての地位に立って裁断する訴訟上の主義。→職権主義

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百科事典マイペディアの解説

当事者主義【とうじしゃしゅぎ】

訴訟手続における主導権を当事者に与える主義。職権主義に対する。民事訴訟弁論主義を基本原則として当事者主義構造をとる。刑事訴訟でも第2次大戦後に英米法の影響を受けて,当事者主義が強化され,検察官と被告人を当事者として審理を進める構造がとられ,職権主義がこれを補充している。
→関連項目処分権主義

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世界大百科事典 第2版の解説

とうじしゃしゅぎ【当事者主義】

訴訟手続について,当事者と裁判所のどちらに主導権を認めるかにより,当事者主義と職権主義の対立が生まれる。訴訟のさまざまな局面について問題となる。
民事訴訟
 民事訴訟は個人間の利害の調整,紛争の解決を目的とするので,そこでは当事者主義を基調にし,当事者にイニシアティブをとらせたほうがつごうがよいと考えられている。この当事者主義は,処分権主義弁論主義当事者進行主義に分けて説明される。(1)処分権主義とは,手続の開始,裁判の範囲の設定および手続の終了について,当事者に主導権(処分権)を認めるものである。

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大辞林 第三版の解説

とうじしゃしゅぎ【当事者主義】

訴訟手続きに関して、訴訟の主導権を当事者に与え、裁判所は介入しない原則。 ↔ 職権主義

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

当事者主義
とうじしゃしゅぎ

訴訟手続における審理や進行などについて、裁判所の職権よりも当事者のほうに主導権を認める考え方で、職権主義に対する概念をいう。[内田武吉]

民事訴訟における当事者主義

訴訟は、その主体である両当事者と裁判所の諸行為によって連続的・段階的に発展する手続である。そして民事訴訟には、私的な紛争を公的に解決するという矛盾した性格が内在している。そこで、この訴訟手続の展開について、主導権を当事者が握るか、あるいは裁判所が権限としてもつかという観点から、当事者主義と職権主義とが対立することになる。元来、近代民事訴訟法は19世紀における自由放任思想のもとで誕生したので、公的性格はあまり強調されなかったが、当事者主義を徹底すると訴訟遅延などの弊害が顕著となったため、その後、漸次、職権主義が導入されることとなった。日本の民事訴訟法もこの流れに沿って発展してきている。しかし民事訴訟は刑事訴訟とは異なり、私的側面を軽視することはできないので、職権主義の進出にもおのずから限界がある。そこで、審判対象の特定と訴訟資料の収集については、訴訟指揮権などにより若干修正を加えながら当事者主義(処分権主義と弁論主義)を保存し、訴訟手続の進行については職権主義(職権進行主義)を強化するというのが、現在の各国の一般的傾向とみられる。[内田武吉]

刑事訴訟における当事者主義

訴訟進行の主導権を当事者すなわち検察官と被告人に与える原則をいう。現行刑事訴訟法の施行直後には、刑事手続における当事者訴訟の構造は、単に被告人の保護を目的とする技術的当事者構成だとする理解も示されたが、その後、しだいに、当事者主義が現行刑事訴訟法の基本構造であるとする理解が一般的となった。すなわち、(1)現行法は、いわゆる起訴状一本主義(公訴を提起する際、検察官が提出するのは起訴状のみとする原則)を採用し(刑事訴訟法256条6項)、検察官の手持ち証拠が裁判所に引き継がれることはなくなった。これにより、捜査と公判との連続性は遮断され、裁判所は白紙の状態で公判に臨むこととなった。したがって、証拠調べの請求は、検察官、被告人または弁護人が行い(同法298条1項)、証人尋問も、刑事訴訟法第304条1項が裁判長の尋問を優先したにもかかわらず、当事者の交互尋問によることが原則となった(刑事訴訟規則199条の2以下)。また、(2)現行法は、検察官の裁量による起訴猶予を許すいわゆる起訴便宜主義を採用し(同法248条)、起訴・不起訴の決定を検察官の権限とし、起訴する場合も、訴因の設定・変更は検察官が行う(同法256条3項、312条1項)こととした。このようにして、証拠と訴因という公判手続の最も重要な部分について当事者主義の主導権を認めた(これを当事者追行主義とよぶ)。したがって、(3)裁判所の職権証拠調べ(同法298条2項)あるいは訴因変更命令(同法312条2項)の規定は、現行法上は例外的な制度と位置づけられることとなった。
 もっとも、当事者主義の理解は多岐にわたる。すなわち、当事者に訴訟進行の主導権を認めるべきであるとする当事者追行主義の理解のほか、検察官と被告人との間には攻撃・防御の能力に格差があるため、被告人の防御能力を強めるべきであるとする当事者対等主義(あるいは武器対等の原則)との理解、当事者に処分権を認めるべきであるとする当事者処分権主義との理解、さらには、被疑者・被告人の権利保障すなわち適正手続それ自体を当事者主義とする理解などである。しかし、当事者主義の中核は当事者追行主義にある。とりわけ2004年(平成16)の刑事訴訟法改正により導入された公判前整理手続により、公判審理も事件そのものというより当事者の主張する争点を中心に進められることになり、当事者追行主義の意義が一層強化された。判例も、公判前整理手続に基づく公判審理が当事者主義(当事者追行主義)を前提とすることを認めるに至っている(平成21年10月16日最高裁判所第二小法廷判決)。
 当事者処分権主義については、訴訟手続に関する処分権と訴訟物(刑事訴訟においては訴因をいう)に関する処分権が区別される。訴訟手続に関しては職権主義によることが原則であるが、簡易公判手続における被告人の有罪である旨の陳述の制度、即決裁判手続における被疑者の同意の制度、略式手続における被疑者の異議の制度、さらには、証拠への同意などは、被疑者・被告人に一定の手続処分権を認めたものである。これに対して、訴訟物の処分権は、検察官については、起訴便宜主義、公訴取消し制度、そして訴因制度により処分権主義が認められていることは明らかであるが、被告人については、有罪の自認があっても有罪とはされないと規定されている(同法319条2項・3項)。[田口守一]

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世界大百科事典内の当事者主義の言及

【口頭弁論】より

…口頭弁論の制度的枠組みとして,(1)一般公衆が傍聴しうる状態で行われ(公開主義),(2)当事者双方にその主張を述べる機会を平等に与え(当事者対等の原則),(3)弁論および証拠調べは口頭で行い(口頭主義),(4)弁論の聴取や証拠調べはその事件の裁判をする受訴裁判所がみずから行うこと(直接主義)が要請される(249条)。民事訴訟の対象が原則として〈私的自治の原則〉の支配する私人間の権利義務関係であることにかんがみ,法は,訴訟を主体的自律的に進める権能と責任を当事者に与えてその意思を尊重している(当事者主義)。すなわち,口頭弁論において当事者は,いかなる請求を立て,いかなる事実を主張し,いかなる証拠を提出するかを決定する権利と責任を原則として有し,当事者の認識の一致した事実は裁判所を拘束し,口頭弁論の途中で合意に達すれば和解(訴訟上の和解)で訴訟を終了させることもできる。…

【公判】より

…この後,審理は本格的な段階に入り,証拠調べが始まる。ところで,公判の手続は,裁判官の主宰するものではあるが,裁判官が職権で進めるわけではなく,当事者双方のイニシアティブのもとで,その攻撃と防御とによって進展する(当事者主義)。(2)証拠調べは,公判手続の中心的部分であり,原則として両当事者の請求に基づいて行われる。…

【裁判】より

…しかし,理非の審理に入った場合は,以後の手続は徹底した当事者追行主義であって,殺害の訴え(刑事裁判)でも,それが裁判として争われる限りは例外ではない。実は中世社会の紛争解決手段は,私戦すなわち自力救済を有力な手段として有しており,これが裁判の形をとった場合に当事者主義が厳格に守られるのは当然である。そして私戦か訴訟かの選択は当事者の判断にゆだねられていたし,訴訟=裁判となっても訴陳状や裁許状のような訴訟資料の作成されない,したがって今日に資料の伝存しない,多様なケースが存在したものと思われる。…

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