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超多時間理論 ちょうたじかんりろんsuper-many-time theory

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

超多時間理論
ちょうたじかんりろん
super-many-time theory

特殊相対性理論の要請を完全に満たす場の量子論の形式。朝永シュウィンガーの理論とも呼ばれる。計算のすべての過程で相対論的不変性が保証されるため,発散の困難くりこみ理論で処理する際に威力を発揮した。ハイゼンベルクパウリの場の量子論では,物理量が各座標系ごとに定義され,時間が特別な役割を演じる。超多時間理論は,時空世界の空間的な曲面上で物理状態を指定し,曲面の変動に応じて状態変化を追跡することにより,座標系の選び方によらず空間および時間変数に対称な形式となる。

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デジタル大辞泉の解説

ちょう‐たじかんりろん〔テウ‐〕【超多時間理論】

量子電磁力学、場の量子論を定式化した理論。空間の各点について、それぞれ固有の時間を対応させた理論。各電子に固有な時間を考えたP=A=M=ディラック多時間理論を拡張したもので、昭和18年(1943)に朝永(ともなが)振一郎が提唱。朝永シュウィンガー理論

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百科事典マイペディアの解説

超多時間理論【ちょうたじかんりろん】

場の量子論において相対性理論の要求を完全に満足する理論形式。1932年ディラックが提唱した多時間理論(相互作用をしている電子一つ一つに独立な時間を与える)が電子の生成・消滅を含まない欠点をもつのを改め,時空間内の一点一点に時間を与えて基礎方程式を立てたもの。
→関連項目素粒子論

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世界大百科事典 第2版の解説

ちょうたじかんりろん【超多時間理論 super‐many‐time theory】

場の理論を相対論的に表現するための手法。朝永振一郎によって1943年に提出され,J.シュウィンガーによっても独立に拡張されたので朝永=シュウィンガーの理論ともいう。粒子の相対速度が光速cに比べて遅い場合(例えばふつうの原子中の電子の核に対する速度はc×10-5)には,量子力学は非相対論的なシュレーディンガー方程式で十分よく記述される。その場合,複数の電子の位置座標がそれぞれ独立な変数として取り扱われる。

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大辞林 第三版の解説

ちょうたじかんりろん【超多時間理論】

量子電磁力学の相対論的な定式化において、波動関数を、一時刻の関数ではなく、四次元空間の極面の関数として記述する方法。1943年、朝永振一郎が提唱した理論。この理論はさらに繰り込み理論に発展し、量子電磁力学の完成に寄与した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

超多時間理論
ちょうたじかんりろん

場の量子論(「場」を量子力学的に取り扱う理論)の内容が(特殊)相対性理論に従っていることを、数学的形式のうえでも一目瞭然(りょうぜん)となるように定式化した理論。朝永(ともなが)振一郎とJ・シュウィンガーとが1943年、1948年に、それぞれ独立にこの理論をつくった。この理論によれば、空間の全領域に広がった場の量子力学的状態を記述するために、状態ベクトルを、単一の時間変数の関数としてではなく空間の場所ごとに異なる時刻を指定して、ミンコフスキー空間のなかで定義される「空間的超曲面」の汎(はん)関数として書き表す。したがって、状態は無限個の空間の点に対応して無限個の時刻値に(空間的超曲面への依存性を通じて)依存するのでこの名がつけられた。
 この状態ベクトルは「朝永‐シュウィンガー方程式」に従って場の相互作用から生ずる変化を受け、他方、場の力学変数(場の演算子など)自体は場に相互作用のない場合と同形の運動方程式と交換関係に従う。
 場の量子論を超多時間理論の形式に再定式化することによって理論の含む物理的内容がきわめて明確になり、場の理論に基づく計算にしばしば現れる発散量(無限大の自己エネルギーなど)を矛盾なく取り除いて有限確定の結果を得る「くりこみrenormalization理論」も理論のこの形式を用いて発見されたものである。[牧 二郎]
『朝永振一郎著、山口嘉夫解説『朝永振一郎著作集11 量子力学と私』新装版(2002・みすず書房)』

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世界大百科事典内の超多時間理論の言及

【相対論的量子力学】より

… 広い意味では相対論的量子力学は相対論的場の量子論と同義となる。この理論では空間の各点に対応する時刻が必要であり,超多時間理論となる。すなわち,ある時刻での事象を問題にするのでなく,四次元時空中の三次元超曲面上での波動関数を考えるのである。…

※「超多時間理論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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