後ろめたい(読み)ウシロメタイ

デジタル大辞泉 「後ろめたい」の意味・読み・例文・類語

うしろ‐めた・い【後ろめたい】

[形][文]うしろめた・し[ク]《「後ろ目痛し」からという》
自分に悪い点があって、気がとがめる。やましい。「親友を裏切ったようで―・い」
自分の目が届かず、不安である。心もとない。気がかりだ。
「我なからむ世など―・し」〈落窪・二〉
油断がならない。気が許せない。
「是ほど―・う思はれ参らせては」〈平家・二〉
[補説]2原義で、古くはやましい気持ちを含まなかった。
[派生]うしろめたげ[形動]うしろめたさ[名]
[類語]やましい後ろ暗い面目無い名折れ面汚し赤恥羞恥生き恥死に恥恥さらし恥ずかしい極まり悪い不名誉不面目肩身が狭い合わせる顔がない身の置き所が無い穴があったら入りたい面目次第も無い汗顔・汗顔の至り冷汗三斗・冷や汗もの・忸怩じくじ顔向けが出来ない顔が合わせられない顔が潰れるばつが悪いどの面下げて恥じ入るかた無し小恥ずかしい気恥ずかしいうら恥ずかしい面はゆい照れ臭い恥をかく身の縮む思い申し訳ないすまない心苦しい気の毒気がとがめる負い目自責面目丸潰れ面目を失う泥を塗る名を折る名を汚す消え入る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「後ろめたい」の意味・読み・例文・類語

うしろ‐めた・い【後めたい】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]うしろめた・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. ある事態に対して感じる不安な気持を表わす。気がかりだ。心配だ。心もとない。主に、時間的に、あるいは空間的に自身の目の届かないものである場合や、ある事態に関して欠点弱点などが感じられる場合などに用いられる。後ろべたい。後ろめたなし。
    1. [初出の実例]「をみなへしうしろめたくも見ゆるかな荒れたる宿にひとり立てれば〈兼覧王〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・二三七)
  3. ある人物の心や行為に対していだく不信警戒などの批判的気持を表わす。信用できない。気が許せない。油断がならない。あぶなっかしい。
    1. [初出の実例]「やがて御屏風にそひつきてのぞくを『あしかめり。うしろめたきわざかな』と」(出典:枕草子(10C終)一〇四)
  4. 他から疑惑、不信、軽蔑などの目で見られるような点が自身の側にあること、または、あると思い込んでいるところからくる心の動揺(おもに罪悪感、羞恥心、気持の負担など)を表わす。気がとがめる。気がひける。気恥ずかしい。
    1. [初出の実例]「かくうしろめたき筋のこと憂きものに思し知りて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
    2. 「自分の言い分が所詮はうしろめたい負け犬のセリフにしか聞こえない」(出典:司令の休暇(1970)〈阿部昭〉一)

後ろめたいの語誌

( 1 )「うしろへ(後方)痛し」の変化した語。後方から見て気がかりな気持や状態をいうのが原義。後ろの方が気がかりだの意とする説や「うしろ」を将来の意とし、対象の行動や状態が未来において不安をはらんでいるとする説もある。
( 2 )平安時代はの不安な気持を表わすのが主で、用例は中世以降に多くなる。対義語は「うしろやすし」。

後ろめたいの派生語

うしろめた‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙

後ろめたいの派生語

うしろめた‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

後ろめたいの派生語

うしろめた‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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