遅れ(読み)オクレ

デジタル大辞泉 「遅れ」の意味・読み・例文・類語

おくれ【遅れ/後れ】

他よりあとになること。他に劣ること。負けること。「流行―」
予定された進度、決められた時刻期限などよりおくれること。おそくなること。また、その度合い。「仕事の―を取り戻す」「列車の―が出る」
(後れ)ひるむこと。気後れ
「忽ち―の出でて」〈紅葉・不言不語〉
後れ毛」の略。
「髪の―のはらはらはら、ともに乱るるわが心」〈浄・女腹切

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精選版 日本国語大辞典 「遅れ」の意味・読み・例文・類語

おくれ【遅・後】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おくれる(遅)」の連用形の名詞化 )
  2. 他のものよりあとになること。ある基準よりおそくなること。また、時勢、流行などにとり残されること。
    1. [初出の実例]「唯(たった)一月の後(オク)れも、不勉強癖のついた敬二には追付(おっつ)くのに中々骨が折れた」(出典:黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉八)
  3. 負けること。失敗すること。また、他に劣ること。
    1. [初出の実例]「追ふつまくつつしのぎをけづり、切つつ切られつ、我はおくれとなりしかば、かなはじとおもひて」(出典:狂言記・双六僧(1730))
  4. 恐れて気力がなくなること。こわがること。気おくれ。
    1. [初出の実例]「敵を尋ぬる旅立ちは、いつする事ぞ、べんべんと、なぜこの江戸に足を留め、おくれが来たかと思し召す」(出典:歌舞伎・謎帯一寸徳兵衛(1811)中幕)
  5. 気分が高まらない状態。気が乗らず、しまりのない状態。
    1. [初出の実例]「座敷のきをひおくれを考へて見る事、その道に長ぜざらん人は、左右なく知るまじきなり」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)三)
  6. おくれげ(後毛)」の略。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「髪のをくれのはらはらはら、ともに乱るるわが心」(出典:浄瑠璃・長町女腹切(1712頃)道行)

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化学辞典 第2版 「遅れ」の解説

遅れ
オクレ
time-lag

時間遅れともいう.制御システムや化学装置において,システム内のある一点における物理量(たとえば,入口における温度濃度)が変化した場合,ほかの一点(たとえば,出口)におけるその物理量が変化するまでの時間を遅れという.遅れの原因としては,
(1)キャパシタンスとよばれ,システム内のエネルギーなどを蓄積する性質によるもの.たとえば,熱交換器の管壁における熱の蓄積作用など.
(2)レジスタンスとよばれ,エネルギーなどの移動の抵抗となる要素によるもの.熱交換器における流体境膜による熱移動の抵抗など.
(3)輸送遅れなどとよばれ,変化した物理量をもつ流体塊が,流れにのって移動するのに時間を要することに起因する遅れ,
などである.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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