(読み)ケン

デジタル大辞泉 「遣」の意味・読み・例文・類語

けん【遣】[漢字項目]

常用漢字] [音]ケン(呉)(漢) [訓]つかう つかわす やる よこす しむ
一部を割いて差し向ける。使いをやる。「遣唐使差遣先遣派遣分遣
追いやる。憂さを晴らす。「遣懐消遣
[難読]鬼遣おにやら

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精選版 日本国語大辞典 「遣」の意味・読み・例文・類語

やり【遣】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「やる(遣)」の連用形名詞化 )
  2. 行かせること。
  3. やりて(遣手)」の略。
    1. [初出の実例]「遣(ヤリ)のよしに文もたせこし」(出典浮世草子・好色旅日記(1687)二)
  4. 取引市場で、「売る」ということ。たとえば、百円で売ることを「百円やり」という。〔新しき用語の泉(1921)〕

やらせ【遣】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「やらせる」の連用形の名詞化 ) 放送用語。テレビのドキュメンタリー番組などの制作で、事実らしく見せながら、実際には演技されたものであること。
    1. [初出の実例]「演(ヤ)らせの白々しさを避けるために、一人の女を徹底的に盗み撮りする、という手法に」(出典:三重波紋(1977)〈井口泰子〉アリアドネは女)

やら‐い‥ひ【遣】

  1. 〘 名詞 〙 追い払うこと。他の語と複合して用いることが多い。「神やらい」「鬼やらい」など。

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普及版 字通 「遣」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

(旧字)
14画

[字音] ケン
[字訓] つかわす・やる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は(けん)。(し)(肉)を両手で奉ずる形。軍行のとき、軍社やに祭った肉を奉じて行動したが、はその祭肉である肉の象形で、師旅の師の初文。これを携行し、その所在に榜示する字は(し)で駐屯地、これを建物の中におくときは官。軍を分遣するときは、その肉を頒かってこれを奉じた。ゆえに分遣の意となり、遣贈の意となる。

[訓義]
1. つかわす、軍をつかわす、派遣する。
2. おくる、たまもの、おくりもの、あたえる。
3. やる、はなつ、すてる。
4. 使役。~せしむ。

[古辞書の訓]
名義抄 ヤル・マダス・ツカハス・シムセシム・サル・オクル・ハナル・ユルス・ホシママ・オヨブ 〔字鏡集〕 ホシイママ・タマフ・ツカハス・セシム・ユルス・シテ・ヤル・サル・タクル・ハナル・オクル・マダス

[声系]
〔説文〕三上声として譴を収め、「問(たくもん)なり」とあり、譴責の意。軍を派遣して討伐することと関連する語であろう。

[熟語]
遣懐・遣還遣帰遣興遣刑遣行・遣差遣使遣辞遣蝨・遣車遣戍・遣人遣送・遣質・遣牒・遣・遣派・遣発・遣犯・遣憤・遣悶
[下接語]
差遣・自遣・謝遣・縦遣・消遣・先遣・調遣・派遣・分遣

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