化学式BaO。バライタ(バリタ)baryta,重土ともいう。白色の粉末。硝酸バリウムを熱すると純度の高いものが得られるが,工業的には炭酸バリウムを炭素とともに強熱して製造される。
BaCO3+C─→BaO+2CO
炭酸バリウムだけを熱分解しても生ずるが,分解温度(約1500℃)が非常に高く,また過酸化物BaO2が生じやすいので,炭素で還元的に分解したほうがよい。融点1923℃,沸点約2000℃,比重5.98。水と反応すれば強く発熱して水酸化バリウムBa(OH)2となり,二酸化炭素を吸収すれば炭酸バリウムBaCO3に容易に変化するなど,酸化カルシウムに似た挙動を示す。結晶構造もBa2⁺とO2⁻から成るNaCl型である。空気中または酸素中で500℃以上に熱すると過酸化バリウムBaO2となる。Ba(OH)2は水溶性の強アルカリとして,またBaO2は酸化剤として利用され,後者は過酸化水素の製造原料にもなる。
執筆者:曽根 興三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
BaO(153.33).バリウムの硝酸塩,炭酸塩,過酸化物,水酸化物を強熱して得られる.白色の粉末.密度5.72 g cm-3.融点1923 ℃,沸点約2000 ℃.水に溶かすとはげしく反応して水酸化バリウムを生じる.酸と反応してバリウム塩を生じる.空気中に放置すると二酸化炭素を吸収して炭酸バリウムとなる.酸素と熱すれば過酸化バリウムとなる.脱水剤,乾燥剤,有機合成用触媒,炭酸ガス吸収剤,潤滑油添加剤,バリウム塩の製造,真空管やブラウン管の陰極材,ガラス工業などに用いられる.有毒.[CAS 1304-28-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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