日本大百科全書(ニッポニカ) 「過酸化バリウム」の意味・わかりやすい解説
過酸化バリウム
かさんかばりうむ
barium peroxide
バリウムと酸素の化合物の一つ。酸化バリウムを二酸化炭素を含まない空気、または酸素中で500℃に加熱すると得られる。また、水酸化バリウム飽和水溶液に過酸化水素を加えると八水和物(式量313.4、比重2.29)として沈殿する。無水物は灰白色の粉末。アルカリ土類金属の過酸化物のうちもっとも安定であるが、高温に熱すると酸化バリウムと酸素に分解する。冷水にわずかに溶け、熱水では分解する。低温で希硫酸を作用させると過酸化水素溶液が生成する。八水和物は無色、六方晶系の結晶で、100℃で無水物に変わる。無水物よりはいくぶん水に溶けやすい。酸化剤として織物、そばの漂白、過酸化水素の製造原料のほか、爆発時を調整する延時薬として火薬の製造に使われる。
[鳥居泰男]