重任(読み)チョウニン

デジタル大辞泉 「重任」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐にん【重任】

[名](スル)
じゅうにん(重任)2
平安中期以降、国司任期満了にあたり、財貨納入したりして、さらに任期を重ねること。

じゅう‐にん〔ヂユウ‐〕【重任】

[名](スル)
重要な職務任務。大任。「重任を果たす」
任期が終わったのち、同じ職務・任務に続いて就くこと。ちょうにん。

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精選版 日本国語大辞典 「重任」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐にん【重任】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ちょう」は「重」の漢音 )
  2. ( ━する ) 引きつづき同じ職務上の地位に就くこと。特に、平安中期以降、国司が任期の四年を終えたのち、財貨を納入したり、造営など公的工事を請け負ったりして、その任にとどまること。じゅうにん。
    1. [初出の実例]「件僧属於造運修理大殿雑材之事、従去年冬入深杣。其事未畢、今年秩満。望請、重任令其事者。仍重任如件」(出典:東南院文書‐貞観六年(864)正月一三日・僧綱牒)
    2. 「諸国〈略〉よき国司をば重任とてかさねて又四ケ年をたぶ。又延任とて任をのべらるる事もあり」(出典:百寮訓要抄(1368‐88頃))
  3. 重大な任務。重い役目。大任。じゅうにん。
    1. [初出の実例]「朕以薄徳忝承重任」(出典:続日本紀‐天平一三年(741)三月乙巳)
    2. 「不肖の身を以て徒に重任(チョウニン)を辱しめ」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉四)

じゅう‐にんヂュウ‥【重任】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 重大な任務。重い役目。大任。
    1. [初出の実例]「常思重任必有堪」(出典:済北集(1346頃か)一三・蔵山祭光首座)
    2. 「タダ イマ ネンレイ サカンナル イノチヲ ステンヨリワ giǔnin(ヂュウニン) タイキノ ヒトニ アイセラレテ ヨヲ トヲリ」(出典:サントスの御作業の内抜書(1591)一)
    3. [その他の文献]〔史記‐信陵君伝〕
  3. かさねて任に就くこと。引き続き同じ職務につくこと。〔官職難儀(1563頃)〕
  4. ちょうにん(重任)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「重任」の意味・わかりやすい解説

重任
ちょうにん

一般には任期満了後、重ねてもとの官職に就任することをいう。平安時代には、重任といえばすぐ受領(ずりょう)を連想するほどに国司の任に多かった。国司の任期は令(りょう)制では6年で、その後4年となったが、任期中に造営の功により、あるいはまた献金、貢物などをして重任を願い、宣旨(せんじ)によって許可された。焼亡した内裏(だいり)の復興、御願寺(ごがんじ)の建立、内裏大垣や諸門の修理など、受領の財力に負うところが大きい。

[渡辺直彦]

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百科事典マイペディア 「重任」の意味・わかりやすい解説

重任【ちょうにん】

任期満了の官職に重ねて任じること。平安中期以降,蓄財や在地支配に成功した国司に重任希望者が多く金銭の納入や公共工事を負担させ,かわりに重任を認めた。後三条天皇はこれを禁止したが,院政期には造寺による重任が盛んに行われ,鎌倉時代に及んだ。

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普及版 字通 「重任」の読み・字形・画数・意味

【重任】じゆう(ぢゆう)にん

重い荷物。また、重要な任務。〔子、王覇〕國なるは、天下の大なり。重任なり。~誰子(誰人)にか之れ與へん。

字通「重」の項目を見る

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「重任」の解説

重任
ちょうにん

成功(じょうごう)の一種財物進納や造営の功によって,任期満了後に同じ官職に再任されること。とくに受領(ずりょう)の場合に多い。受領巡任(旧吏巡)のように公文(くもん)勘済が問題にされることはなく,この点で旧来の受領統制策と大きく矛盾した。院政期には,重任やこれと質を同じくする遷任・相博(そうはく)などの成功が多発するようになるが,これは新たに出現した院権力を背景とする国家財政の構造変化と関連する現象であった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「重任」の意味・わかりやすい解説

重任
ちょうにん

任期満了後も,なお引続いて同一官職に任じること。平安時代中期以降国家財政が窮乏するにつれて売官による重任が盛んになった。成功 (じょうごう) により受領 (ずりょう) に重任されることを求めるものが多かった。

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旺文社日本史事典 三訂版 「重任」の解説

重任
ちょうにん

平安中期以後に盛行した売官の一つ
任期のある官職についている律令官人が財物を納めて,あるいは公的造営に奉仕して任期をもう1期延長すること。収益の多い国司に著しく,後三条天皇の禁止も効なく,鎌倉時代まで行われた。

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世界大百科事典(旧版)内の重任の言及

【成功】より

…時代が下ると成功の対象となる官職の数も増すとともに上級に伸び,国司の守(受領),諸寮司の長官にまで及んだ。また成功によって国守(任期4年)を再任することも行われこれを重任(ちようにん)といい,同じく任期を延ばすことを延任と称した。成功による任官が増すと任料が下落し,そのためさらに数を増すといった悪循環を批判されながら鎌倉時代に及んだ。…

※「重任」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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