野呂介石(読み)ノロカイセキ

デジタル大辞泉 「野呂介石」の意味・読み・例文・類語

のろ‐かいせき【野呂介石】

[1747~1828]江戸後期の南画家紀伊の人。名は隆。池大雅いけのたいが門下。山水竹石にすぐれ、紀州藩御用絵師となった。

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精選版 日本国語大辞典 「野呂介石」の意味・読み・例文・類語

のろ‐かいせき【野呂介石】

  1. 江戸後期の南画家。別号四碧斎十友・矮梅など。紀伊国和歌山県)の人。名は隆。京都に出て池大雅師事。水墨山水画に長じ、紀州藩の絵師となる。延享四~文政一一年(一七四七‐一八二八

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改訂新版 世界大百科事典 「野呂介石」の意味・わかりやすい解説

野呂介石 (のろかいせき)
生没年:1747-1828(延享4-文政11)

江戸後期の文人画家。名は隆年,字は松齢。介石のほか混斎,四碧斎,四碧道人などと号した。紀州和歌山に生まれ,若年より画を志し京都に上った。一説に長崎派の黄檗僧鶴亭(?-1785)に師事したともいうが,21歳で池大雅の門に入り山水画を学んだ。47歳のとき藩に召され,和歌山で藩の絵師となった。山水画を多く残したが,特に熊野の自然を好んで描き,《那智滝図》などが知られる。四碧斎の号はこの絵を賞して藩主が〈山色四時碧〉の一行書を贈ったことによる。また《画談》を著し,自然を観察・写生するみずからの作画態度を記している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「野呂介石」の意味・わかりやすい解説

野呂介石
のろかいせき
(1747―1828)

江戸後期の南画家。名は隆、字(あざな)は松齢、隆年。初め班石、のち介石と号す。ほかに矮梅居(わいばいきょ)、四碧斎などの号をもち、第五隆とも称した。紀州和歌山の医師の家に生まれ、10歳のころより伊藤蘭嵎(らんぐう)について儒学を修め、のち画事を好んで京へ遊学。47歳で紀州藩に出仕し、銅山方などを歴任している。画(え)は21歳のときに池大雅(いけのたいが)についたが、その画風には大雅の影響はほとんどなく、温和で理の勝った山水画は正統的な南宗画様式に近い。那智滝(なちのたき)図を好んで描き、また『紅玉芙蓉(ふよう)図』のような異色の作もある。語録に『四碧斎畫話』『介石小談』『介石小話』がある。

[星野 鈴]

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朝日日本歴史人物事典 「野呂介石」の解説

野呂介石

没年:文政11.3.14(1828.4.27)
生年:延享4(1747)
江戸後期の南画家。名は隆。通称九一郎。字は松齢,隆年。介石,矮梅,四碧斎などと号し,また後漢の第五倫を慕い,第五隆とも称した。和歌山の人。医師の家に生まれ,幼時,藩儒伊藤蘭嵎に師事して儒学を修め,寛政5(1793)年,47歳で紀州(和歌山)藩に仕えた。武芸にも励むまじめな武士であった。画は少年時,鶴亭,次いで池大雅に師事。仕官以前は画家として生活したか。黄公望,伊孚九に私淑して南宗山水を描く。しばしば「那智滝図」などの真景図を描いたのは大雅の影響かもしれないが,その画風は極めて穏和で,大雅には似ていない。画論に『介石画話』がある。

(武田光一)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「野呂介石」の意味・わかりやすい解説

野呂介石
のろかいせき

[生]延享4(1747).1.20. 紀州
[没]文政11(1828).3.14. 紀州
江戸時代後期の南画家。名は隆,字は隆年,号は介石,混済,四碧道人,第五隆など。 21歳のとき上京して池大雅に師事。寛政5 (1793) 年紀州に帰り藩に出仕。木村蒹葭堂桑山玉洲らと交遊。その談話を記録した『介石画話』1巻が伝わる。主要作品『那智滝図』。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「野呂介石」の解説

野呂介石 のろ-かいせき

1747-1828 江戸時代中期-後期の画家。
延享4年1月20日生まれ。儒学を伊藤蘭嵎(らんぐう)に,画を池大雅(いけの-たいが)にまなび,47歳から生地の紀伊(きい)和歌山で藩につかえ書院番格となる。山水画にすぐれ,那智の滝,和歌浦などをえがいた作品をのこした。文政11年3月14日死去。82歳。名は隆。字(あざな)は隆年,松齢。別号に矮梅,四碧斎など。編著に「四碧斎画話」など。

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367日誕生日大事典 「野呂介石」の解説

野呂介石 (のろかいせき)

生年月日:1747年1月20日
江戸時代中期;後期の南画家
1828年没

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