サンスクリット名はカニ・クローダKani-Krodhaといい,無量寿仏あるいは金剛薩埵(さつた)の化身とされる。金剛童子法は調伏や息災を祈る密教の修法である。金剛童子を単独で説いた経典は,金剛智訳と不空訳の2種があり,前者には黄色身の二臂(にひ)像,後者には青色身の六臂像が述べられている。これらは黄童子,青童子ともいわれ,黄童子は主として台密において,青童子は主として東密において用いられると伝える。二臂像は三鈷(さんこ)を持つ左手を高く振り上げ,右手は伸ばして下げ施無畏(せむい)印とする。作例には園城寺蔵《黄金剛童子像》がある。六臂像は海中の岩の上に片足をのせ,一方の足を波に洗わせながら海に立つ姿を表現する。醍醐寺には信海が1280年(弘安3)に描いた白描図像《金剛童子像》が現存する。
執筆者:関口 正之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
金剛杵(しょ)に秘められた威力を影像化した金剛部の忿怒(ふんぬ)形の童子。サンスクリット語ではバジラクマーラVajra-kumāraあるいはカニクローダKai-krodhaという。阿弥陀(あみだ)仏の化身(けしん)といわれ、形像は蔵王権現(ざおうごんげん)に似る。二臂(ひ)または六臂像。二臂像は天台宗の園城寺(おんじょうじ)(三井寺(みいでら)、大津市)所伝といい黄童子で、左足を高くあげ、空中を踏み(丁字立(ていじだて))、両手を大きく開く。とくに左手に三鈷杵(さんこしょ)を持ち、右足は青蓮華(れんげ)座を踏む。六臂像は東密系で青童子という。二臂像は園城寺に作例が、六臂像は醍醐寺(だいごじ)(京都市)に信海筆の白描図像が伝存する。
[真鍋俊照]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…したがって善天狗は修験道の寺院や霊場や修行者を守る護法善神で,〈南無満山護法善神〉といって礼拝される。護法童子(護法),金剛童子としてまつられるのはその山の山神(山の神)たる天狗である。このような山神天狗はその山の開山たる高僧や,行力ある山伏に服属して,守護霊であるとともに使役霊となって,諸国を弁ずる。…
※「金剛童子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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