日本大百科全書(ニッポニカ) 「金子大栄」の意味・わかりやすい解説
金子大栄
かねこだいえい
(1881―1976)
明治~昭和期の真宗大谷派の僧。新潟県高田(上越市)の最賢寺(さいけんじ)に生まれる。1899年(明治32)に真宗大学(現、大谷大学)の予科に入学。華厳(けごん)を学んだ。卒業後は高田に帰り、布教にあたるとともに、清沢満之(きよざわまんし)の始めた『精神界』の原稿執筆にあたっていたが、1915年(大正4)から同誌の編集責任者となった。翌1916年には京都の真宗大谷大学の教授に就任。しかし1928年(昭和3)に、著書『如来及び浄土の観念』『浄土の観念』が異安心(いあんじん)の書として糾弾され、大谷大学教授を免ぜられ、翌1929年僧籍を剥奪(はくだつ)された。その後は広島文理科大学(現、広島大学)に招かれて教壇に立つとともに、曽我量深(そがりょうじん)らと京都に興法学園を開き、宗派を超えて学生の指導にあたった。著書には『仏教概論』ほか多数ある。
[北西 弘 2017年6月20日]
『寺田正勝他編『金子大栄著作集』全12巻・別巻4(1977~1986・春秋社)』