釣上・吊上(読み)つりあげる

精選版 日本国語大辞典 「釣上・吊上」の意味・読み・例文・類語

つり‐あ・げる【釣上・吊上】

〘他ガ下一〙 つりあ・ぐ 〘他ガ下二〙
① 物をつって上に上げる。鉤(かぎ)にひっかけたり縄でしばったりして上に上げる。つるし上げる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※竹取(9C末‐10C初)「粗籠に人をのぼせてつりあげさせて」
② 魚を釣り針で釣って引き上げる。
今昔(1120頃か)一九「一年我河尻にして鵜飼の為に釣(つ)り被上(あげられ)たりしを」
一方の端を上げた状態にする。上方にひきつらせる。
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一「眉をつりあげしは」
④ 作為的に物品値段報酬を高くする。相場を人為的に高くする。
貧乏物語(1916)七〈河上肇〉「政府は色々に骨を折って、今度は米価を吊り上げる工夫をして居る」
⑤ =つる(釣)
※相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉常陸山、梅ケ谷時代の壮観「常陸山は強敵荒岩を一尺四五寸も釣上(ツリア)げて土俵の外に棄て」

つり‐あげ【釣上・吊上】

〘名〙
① 値段などを操作して高くすること。相場を人為的に高くすること。
江戸から東京へ(1923)〈矢田挿雲〉九「大に買煽って米価釣上(ツリア)げに成功し」
歌舞伎で、大道具の仕掛けにより、登場人物を舞台上部へ釣り上げること。また、特に、四角の台に役者を乗せ、四隅に綱をとりつけて、天井にある滑車などで引き上げる設備の称。おおもっこう。
戯場訓蒙図彙(1803)三「釣上 一名大もっかうともいへり」

つり‐あが・る【釣上・吊上】

〘自ラ五(四)〙
① 鉤(かぎ)に引っかかったり縄につられたりして上へあがる。
※良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉後「車夫の足は地と離れてブラリ虚空に釣り上った」
② つり上げた状態になる。上方にひきつれる。
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉二「金玉もびっくりしたと見へて上の方へ釣上ったのだ」

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