鈴木泉三郎(読み)すずきせんざぶろう

精選版 日本国語大辞典 「鈴木泉三郎」の意味・読み・例文・類語

すずき‐せんざぶろう【鈴木泉三郎】

劇作家東京都出身。岡村柿紅門下雑誌新演芸」の編集従事するかたわら戯曲を書く。作品は「次郎吉懺悔(じろきちざんげ)」「生きてゐる小平次」など。明治二六~大正一三年(一八九三‐一九二四

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改訂新版 世界大百科事典 「鈴木泉三郎」の意味・わかりやすい解説

鈴木泉三郎 (すずきせんざぶろう)
生没年:1893-1924(明治26-大正13)

劇作家。東京生れ。苦学して大倉商業夜間部を卒業。短歌に関心をもち,水野葉舟に入門したが,三越呉服店の懸賞脚本に入選したことで,演劇への関心を深め,1916年玄文社に入社,《新演芸》の編集に従事した。《芝居見たまま》などの多彩な演芸記事を書くかたわら,劇作に精進,20年最初の戯曲集《ラシャメンの父》を刊行し,劇作家として自立した。その後,6代目尾上菊五郎によって初演された《次郎吉懺悔》(1923),名作として評価された《生きてゐる小平次》(1924)などの戯曲を発表対話の巧妙な運びと近代的な手法で,時代劇の新しい領域を開いた。《鈴木泉三郎戯曲全集》(1925)がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鈴木泉三郎」の意味・わかりやすい解説

鈴木泉三郎
すずきせんざぶろう
(1893―1924)

劇作家、劇評家。東京に生まれる。大倉商業学校卒業。水野葉舟、岡村柿紅(しこう)に師事。『新演芸』の編集に従事し劇評を書く。戯曲『八幡屋(やわたや)の娘』(1918)、『次郎吉懺悔(ざんげ)』(1923)が上演されたが、病気のため夭逝(ようせい)。没後の1925年(大正14)に、絶筆の『生きてゐる小平次』が上演され好評を博した。多く愛欲と偏執(へんしゅう)の人物を描きながら、人生の不安を感じさせる。

[藤木宏幸]

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朝日日本歴史人物事典 「鈴木泉三郎」の解説

鈴木泉三郎

没年:大正13.10.6(1924)
生年:明治26.5.10(1893)
大正期の劇作家。東京青山生まれ。大倉商業卒。作家水野葉舟に入門。大正2(1913)年三越呉服店の懸賞脚本に入選,大正5(1916)年岡村柿紅のすすめで『新演芸』(玄文社)の編集に従事,かたわら劇作に精進,「八幡屋の娘」「ラシャメンの父」「美しき白痴の死」などを発表。12年2月「次郎吉懺悔」が6代目尾上菊五郎により上演され好評を博した。関東大震災(1923)による玄文社の解散にともない,以後文筆生活に入る。作品は虚無的な無気味な雰囲気のなかに人間の真髄を描き出したものが多い。13年8月『演劇新潮』に発表した「生きてゐる小平次」はその絶筆で代表作。近代戯曲史上の名作として評価が高い。<参考文献>『鈴木泉三郎戯曲集』1巻,大山功『近代日本戯曲史』2巻

(菊池明)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「鈴木泉三郎」の解説

鈴木泉三郎 すずき-せんざぶろう

1893-1924 大正時代の劇作家。
明治26年5月10日生まれ。水野葉舟,岡村柿紅(しこう)に師事。「新演芸」の編集のかたわら戯曲を執筆。「次郎吉懺悔(ざんげ)」,「生きてゐる小平次」(絶筆)は6代目尾上菊五郎らによって上演され好評をえた。大正13年10月6日死去。32歳。東京出身。大倉商業(現東京経済大)卒。
【格言など】思った通りになる世の中なら,おらあ天下を取っていらあ(「生きてゐる小平次」)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鈴木泉三郎」の意味・わかりやすい解説

鈴木泉三郎
すずきせんざぶろう

[生]1893.5.10. 東京
[没]1924.10.6. 東京
劇作家。大倉商業学校 (現東京経済大学) 卒業後,水野葉舟に師事。戯曲集『ラシャメンの父』 (1920) ,『次郎吉懺悔』 (23) ,『生きてゐる小平次』 (24) などを発表,会話の妙に富む虚無的作風が期待されたが夭折した。

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世界大百科事典(旧版)内の鈴木泉三郎の言及

【生きてゐる小平次】より

…3幕。鈴木泉三郎作。1925年(大正14)6月東京新橋演舞場初演。…

※「鈴木泉三郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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