銅臭(読み)ドウシュウ

デジタル大辞泉 「銅臭」の意味・読み・例文・類語

どう‐しゅう〔‐シウ〕【銅臭】

銅銭のもつ悪臭の意》金銭をむさぼり、また、金銭によって官位を得るなど、金力にまかせた処世を卑しむ語。後漢の崔烈さいれつが銭五百万を使って大司徒にのぼったとき、子の鈞に世間の自分に対する評判を聞くと、鈞は「論者は、その銅臭を嫌う」と答えたという「後漢書」崔寔伝の故事による。「銅臭ふんぷんの政治家

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精選版 日本国語大辞典 「銅臭」の意味・読み・例文・類語

どう‐しゅう‥シウ【銅臭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 後漢の烈が五百万の銭で司徒の官位を得、天下信望を失ったという故事から ) 金で官位を得た者、あるいは財貨をむさぼる者を卑しんでいう語。のちに利欲にばかりとらわれる者をそしるのに使われる。
    1. [初出の実例]「僚属銅臭多、鑠人煎骨髄」(出典:菅家後集(903頃)哭奥州藤使君)
    2. 「吾等の最も嫌ふ所は銅臭なり」(出典:俳句問答(1896)〈正岡子規〉)
    3. [その他の文献]〔後漢書‐崔烈伝〕
  3. 銅銭。
    1. [初出の実例]「細川右京兆政元公所進納銅臭百繦」(出典:蔭凉軒日録‐延徳元年(1489)一〇月二一日)

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故事成語を知る辞典 「銅臭」の解説

銅臭

金銭で官職を買うことのたとえ。また、金銭に執着することのたとえ。

[使用例] 学者が本のかびくさく、軍人硝煙くさく、僧侶抹香くさく、商人が銅臭を帯びるというのがすなわちこのことなのである[中井正一美学入門|1951]

[由来] 「後漢書さいれつ伝」に見える話から。二世紀、後漢王朝の時代の中国には、官職を売買する風習がありました。将来は宰相になるかと周囲の期待を集めていた崔烈も、大臣の地位大金を支払って買い取りましたが、そのとたん、彼の評判は落ち始めました。不安に思った崔烈が、どうしてだろうかと息子に相談したところ、息子から「論者はの銅臭を嫌う(世間の批評家たちは、銅銭の匂いが嫌いなのです)」と言われたということです。

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普及版 字通 「銅臭」の読み・字形・画数・意味

【銅臭】どうしゆう

守銭奴。

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