(読み)カスガイ

デジタル大辞泉 「鎹」の意味・読み・例文・類語

かすがい〔かすがひ〕【×鎹】

材木と材木とをつなぎとめるために打ち込む、両端の曲がった大釘。
人と人とをつなぎとめるもの。「子は
戸締まりの掛けがね。
「―もとざしもあらばこそ、その殿戸、我さめ」〈催馬楽東屋
[補説]「鎹」は国字
[類語]リベット

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精選版 日本国語大辞典 「鎹」の意味・読み・例文・類語

かすがいかすがひ【鎹】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 戸を締めておくための金具。かけがね。かきがね。
    1. [初出の実例]「かすがひも 錠(とざし)もあらばこそ その殿戸 我鎖さめ」(出典:催馬楽(7C後‐8C)東屋)
  3. 材木の接手、仕口をつなぎ固めるために作られたコの字形の大釘。
    1. [初出の実例]「枷鎖とは枷と云て大なるかふきのやうなるものを二かすかいでくさりて」(出典:百丈清規抄(1462)二)
  4. 両者の関係をつなぎとめておくもののたとえ。多く、夫婦の縁をつなぎとめる子どもをいう。→こ(子)は鎹
    1. [初出の実例]「何時の間にやら子といふ鎹(カスガヒ)の出来て」(出典:いさなとり(1891)〈幸田露伴〉七六)

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改訂新版 世界大百科事典 「鎹」の意味・わかりやすい解説

鎹 (かすがい)

建材などの合せ目をつなぎとめるために打ち込む,両端の曲がった大釘。主として木材に打ち込むが,石などをつなぐ場合もある。本来は戸の掛金のことであるという。古墳からの出土品も知られ,和釘同様,古くは鍛造によって作られた。主として造船,建築,土木工事などで補強金物として用いられる。鉄の角棒,丸棒,平鉄などで作られるが,角棒は現在でも鍛造によることが多い。鎹の働きは,肩幅(働き幅)と脚の長さで決まるが,建築用は肩幅が10cm以下のものが多い。特殊なものとして,両端が逆向きの手違(てちがえ)鎹,中央が甲丸の海老(えび)鎹,一端が平形の目(め)鎹などがある。波釘,股釘などや,両者をつなぐという意味で千切(ちぎり)も一種の鎹といえる。

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百科事典マイペディア 「鎹」の意味・わかりやすい解説

鎹【かすがい】

両端を直角に曲げてコの字形とし,先端を爪(つめ)状にとがらせた大釘。主として木材の土台・小屋組みなど部材の連結に用いられるが,石などの接続に打ち込むこともある。丸・角・平板の形式がある。特殊なものとしては,一端を曲げてとがらせ,他端は釘が打てるような形式の目(め)鎹,爪の向きが互いに直角の手違(てちがい)鎹などがある。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「鎹」の解説

かすがい【鎹】

➀2つの材木をつなぎとめる、コの字形の先のとがった金具。木造の建物では柱と土台、柱と筋交(すじか)い、柱と梁(はり)などの接合に用いる。また石材同士をつなぐときにも使われる。
➁かけがね。戸が開かないようにしておく金具。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【建築金物】より

…【鈴木 博之】
[日本]
 日本建築における金物は,構造用の補強金物,装飾用の飾金具(錺(かざり)金具),実用的な建具の支持金具や戸締め金具,建物を荘厳(しようごん)するための屋上飾,軒風鐸(のきふうたく),高欄擬宝珠(こうらんぎぼし)などに分けられる。補強金物は,長押(なげし),垂木(たるき),裏板などを打ち止める釘,扉板など厚い板をはぎ合わせる合釘(あいくぎ),床板や縁板を裏から根太(ねだ)に引きつける目鎹(めかす),二つの材を引き合わせる(かすがい)などがあり,古代から用いられている。釘は一般に和釘と呼ばれるもので,断面が正方形をしており,頭部に特徴がある。…

※「鎹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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