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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
断面が鋭いV字形をした木片や金属片。木や石を割ったり,下に差し込んで重い物をもち上げたりするのに利用される。図のように,割れ目に打ち込まれた楔をたたくなどして力Fを加えると,ほぼ同じ力が楔の両面に垂直な力F1とF2とに分解されて両側の物体に伝わるが,楔の頂角が小さいとF1とF2はFよりもはるかに大きい力になる。このほか楔は,つなぎ目で両方にまたがらせて打ち込んでつなぎ合わせた物が離れないようにしたり,突き通したほぞ先に打ち込んでほぞ継ぎの強さを増したりするなどいろいろに応用されており,ナイフやかんなの刃なども楔の原理を利用したものである。なお,日本では木や石の隙間に差し込み,強打して割るのに用いる場合,くさびを箭(や)とも呼び,この作業を箭割という。木製の箭には鉄輪をはめることがある。中世以前大鋸(おが)のなかった時代,造材はすべて箭割によった。
執筆者:小出 昭一郎+成田 寿一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
断面がV字形になるようにつくられた建築・工作材料。木や石を割ったり、重い物を押し上げたり、本棚のような工作物の継ぎ目に差し込んで堅く締めたりするのに使われる。このほか、物と物とをつなぎあわすのに使われるもの、車の心棒の端に差し込んで、車輪が外れないようにするものも楔という。断面がV字形の楔を物体に押し込むと、小さな力で物体に大きな力を与えることができる。たとえば、斧(おの)で薪(まき)を割る場合に、斧の断面が鋭角であればあるほど、薪を引き裂く力は強くなる。ナイフのような刃物の断面がV字形で、刃先が鋭くとがっているのは、このような原理を利用して、小さな力でよく切れるようにするためである。
[石川光男]
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