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鋼の面に,たがね,ポンチまたはフライス削りによって作った多数の突起を切れ刃としてもつ切削工具。工作物を手仕上げするのに用いられる。JISでは,鉄工やすり,小さい部分の加工用の断面形状の異なるものを5本,8本,10本,12本と組み合わせて一組とした組やすり,手引きのこぎり目立用刃やすり,製材のこやすりを規定している。特殊なものとして回転手持ち工具につけて用いる回転やすりがある。やすりの大きさは呼び寸法(mm)で表し,鉄工やすりは100から50とびに400まである。組やすりは組合せ本数ごとに寸法がきまっている。断面の形状には代表的な平,半丸,丸,角,三角のほかに加工面の形に応じた種々のものがある。目の種類にはもっとも一般的な金属加工用の複目(最初に40~45度の下目を刻み,さらに下目と60度内外の角度で上目を刻んだもの),非鉄金属や木材用の単目(一方向にのみ目を刻んだもの),鉛,木材など軟質材用の鬼目(石目ともいう),鉄板仕上用の波目,刃やすり用の三度切り目がある。目のあらさは25mmについての上目数によって荒目,中目,細目,油目の別があるが,その目数は呼び寸法で異なる。なお,組やすりには荒目はない。やすりの基本的動作には長手方向に動かす直進法,右斜め前方に動かす斜進法および横に動かす併進法があり,斜進法は深く切ってある上目が進行方向にほぼ直角となり,切削効率がよい。下目は切粉の逃げ溝となる。併進法は最終仕上げのみばえをよくする。三度切り目以外はやすりの摩耗を少なくするため,前方へ押すときにだけ力を加えて切削するようにする。
目立てやすりは鋸歯の研削には欠くことのできないもので,のこぎりの発生した4世紀ころにやすりもあったと考えられる。東大寺所蔵の,ヒノキ材の片面に細かい鉄鋸歯を斜めに多列植え込んだものは木やすりと推定されている。また現在の紙やすりにあたるものとしては,乾燥した鮫(魚)皮,木賊(とくさ),椋葉(むくのは)などが用いられ,また砂でこすって研削したと思われる。なお,紙やすりについては〈研磨布紙〉の項目を参照されたい。
執筆者:笹谷 重康+成田 寿一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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