日本歴史地名大系 「長宗我部地検帳」の解説
長宗我部地検帳
ちようそがべちけんちよう
三六八冊
原本 高知県立図書館(山内家寄託)
解説 長宗我部氏による土佐国惣検地帳。戦国・織豊期の一国規模で残る検地帳としては唯一のもので、国指定重要文化財。
活字本 昭和三二-四〇年に高知県立図書館から刊行(全一九巻)
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
三六八冊
原本 高知県立図書館(山内家寄託)
解説 長宗我部氏による土佐国惣検地帳。戦国・織豊期の一国規模で残る検地帳としては唯一のもので、国指定重要文化財。
活字本 昭和三二-四〇年に高知県立図書館から刊行(全一九巻)
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
長宗我部氏による天正~慶長期(1573-1615)の土佐国惣検地帳。戦国・織豊期,一国規模で残る検地帳として唯一のものである。長宗我部氏は土佐統一,四国制圧の過程で逐次検地を行ったようであり,1578年(天正6)に長岡郡・高岡郡の一部,83年阿波国にその検地例が見られる。その後,豊臣政権に服属後の87年9月より90年5月にかけて大規模な惣国検地を実施しており(幡多郡三崎村のみ同年12月),これは太閤検地の一環をなすものと考えられている(長宗我部地検帳無指出論もある)。また文禄・慶長期には新干拓地や一部に天正検地の仕直し検地も行われている。この一国惣検地帳は浦戸城に保存されていたが,長宗我部氏に代わった新国主山内氏が接収,高知城内の櫓に格納し,〈御櫓帳〉と呼ばれた(山内氏はこの地検帳高をもって本田高とし,その田制の基本として引き継いだ)。1634年(寛永11),この写本が完成(戦災で焼失),原本は47年(正保4)より88年(元禄1)にかけて裏打修補されて今日に伝わる(高知県立図書館蔵)。全368冊。ただし元禄の新本や文禄・慶長の検地帳,山内氏入国後の検地帳,また所務帳・名寄帳などを含むので,天正の地検帳正本は283冊である。この地検帳の記載内容は半葉5筆,1筆ごとに在所(小字(ホノキ)),地積,地目,地位,出目,名請人が記されており,間竿6尺3寸,1反300歩制であるところから,太閤検地との関連が見られる。ただし,代制(1代=6歩)が残っていること,名請人は百姓のみならず給人が単独,または作人と併記される例が珍しくなく,しかも給人・百姓の居屋敷が郷村に〈主居〉と記されるように,兵農未分離の状況が如実に示されている。また,山間部には名体制の残存が強固であり,この期の土佐の後進性がうかがわれる。この〈主居〉の記載によって,郷村別の給人名を抽出列挙したのが《秦士録》(奥宮正明著)である。なお,在所を示す小字とまま見られる注書は,地名学,民俗学,国語学や,地理,動植物,地学等の諸学研究にも益する。
執筆者:下村 效
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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