長い年月にわたっての暦日をまとめたものを長暦という。初めての幕府天文方に任ぜられた渋川春海は,《日本書紀》にある神武天皇以来貞享1年(1684)に至る暦日,すなわち全年の毎月の朔を計算し,その干支,月の大小,閏月などを記した《日本長暦》(1677)を著した。これが最初に著された長暦である。次いで会津の算学者安藤有益は1687年に《本朝統暦》を刊行した。期間は同じであるが日月食の推算までを加え,全部を宣明暦法によって計算した。さらに中根元圭は1714年(正徳4)《皇和通暦》を刊行した。元圭は自分ではほとんど計算せずに春海のものをそのまま借用したと考えられているが,その計算された暦日を史実によって修正している点が評価され,1880年《三正綜覧》が政府により編纂(へんさん)刊行されたときは《皇和通暦》が参照された。《三正綜覧》はさらに15ヵ所ほどの修正を史料により補うとともに,さらに中国の回々暦,太陽暦の暦日を併記してあり,明治以後歴史学者に多く利用された。しかし,《三正綜覧》には史料調査の不足,誤植が多く指摘され,1932年にはこれに若干の補正を行った《年代対照便覧》が神田茂によって刊行された。しかし,これは使用法に難があり,あまり活用されなかった。75年,春海以来初めての暦日の洗直しが内田正男によって行われた。古来のそれぞれの時代に応じた暦法を用い,しかも計算そのものはコンピューターを用い,さらに明治以来の史料調査の成果を大幅に取り入れて《日本暦日原典》として刊行された。
執筆者:内田 正男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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