氷河の発達拡大した時期である氷期と氷期との間にあって、現在と同程度に温暖な気候を示した時期。この時期には、気候は温暖化し、中緯度地域まで分布していた氷床が急速に融解し氷河も後退した。そのため海面が上昇して急激な海進がおこり、海面は現在の位置かそれ以上にまであがった。気温の上昇も大きく、暖化の程度は高緯度ほど顕著に現れ、大陸氷河周辺では氷期に比べて約10℃前後は高まったといわれる。氷河の発達しなかった地域では、間氷期を認める証拠の一つに、海面上昇による海進堆積物(たいせきぶつ)がある。最終間氷期(リス‐ビュルム間氷期、7~8万年前から約13万年前)の浅海堆積物は世界各地に分布しており、日本においても、下末吉海進期(しもすえよしかいしんき)の堆積物で知られる海成層が各地にみられる。横浜市北東部に分布する下末吉層は、基盤の上総(かずさ)層群を不整合に覆って、下部層が礫(れき)や砂層、中部が泥層、上部が砂層からなり、1サイクルの堆積相を示す。本層中には浅海生の貝類化石、ナウマンゾウおよびニホンムカシジカCervus praenipponicusなどの哺乳(ほにゅう)動物化石、ホウゼンジグルミJuglans Sieboldiana hosenjianaなどの植物化石が多く含まれる。これらの動植物化石から当時の気候を推定すると、とくに中部泥層の堆積期は現在より若干温暖であったといえる。
[松島義章]
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現在と同じような温暖な気候に支配された二つの氷期の間の時期。最新の氷期に続く現在(地質時代区分の完新世。後氷期ともよばれる)は典型的な間氷期である。氷期に北ヨーロッパや北アメリカに発達した氷床は,気候の温暖化とともに縮小,消滅した。これに対応して,海水面が上昇し,海岸地域では海進が生じた。最終間氷期の海水面高度は現在より5~6m高かった。このような氷期・間氷期のサイクルは,最近70万年間に8回認められる。
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何回かの氷期に挟まれて氷河の後退する時期で,幾度もあり,現在の属する間氷期は今から1万1000年ほど前から始まった。気候は温暖であり,今日のものより低いとしても年平均10度の差といわれる。
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…それはドナウ川沿いの河川名をとり,ビーバー,ドナウ,ギュンツ,ミンデル,リス,ウルム氷期と古い方から順に,その頭文字がアルファベット順に工夫されている氷期名である。それぞれの氷期glacial stageの間に間氷期interglacial stageがおかれたが,氷期の融氷水礫層が間氷期には風化されることにより,風化の程度から間氷期の時間の相対的な長さが考えられた。スカンジナビア氷床があった北ヨーロッパでも同じように河川名を採用し,古い方からエルスター,ザーレ,ワイクセル氷期とし,その間に海成層で特徴づけられる間氷期を,海成層の分布域のホルスタイン,エームの名で区分した。…
…第四紀更新世のいわゆる氷河時代には,両極のみならず中緯度の平野・丘陵部も広く大陸氷河におおわれた気候の寒冷期があり,そのような時期を氷期という。氷期は現在の気候と同等の温暖気候の時期である間氷期interglacial stageと交代をくり返している。氷期はさらに,現在にくらべれば気温は低く,植生の回復も現在ほどではないにしても温暖化した時期の亜間氷期によって亜氷期に区分される。…
※「間氷期」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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