東アジアのリュート属の撥弦楽器。現在中国では阮と呼ばれる。唐代に,晋の琵琶の名手で〈竹林の七賢〉(七賢人)の一人阮咸の名にちなんで呼称された。正倉院には4弦14フレットのものが保存されている。円形の胴に長い棹をもつ。伝統的な調弦は2弦ずつを同音に5度に調弦する複弦制を用いるが,現在では4弦の各弦の音程関係を5度または4度に調弦して用いる(たとえばソ・レ・ラ・ミ,ド・ソ・レ・ラ)。形の大きさや音域の広さにより,大阮,中阮,小阮,低阮の各種があり,演奏の際には桴(ばち)か指甲で弾奏する。この阮咸に淵源をもつ月琴や秦琴が今日ひろく民間合奏,独奏で用いられている。日本には奈良時代に伝来したが,すぐすたれた。後に清楽(しんがく)用の阮咸が伝わったが,これは八角形の胴に長い棹をつけ,4弦13フレットをもっており,その調弦は,4弦を複弦制としている。
執筆者:増山 賢治
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中国、唐代の撥弦(はつげん)楽器。それ以前は秦琵琶(しんびわ)と称され、構造からはリュート属琵琶系。阮咸の名は、これを愛奏したといわれる晋(しん)代の文人で「竹林(ちくりん)の七賢」の一人の名をとったもの。わが国の正倉院に二面保存されているが、それらの全長は約1メートル、棹(さお)は長く約60センチメートル、円形胴の直径約40センチメートルで4弦、棹から胴面上部にかけて14の柱(じゅう)(フレット)がつけられている。
この唐代の阮咸は、宋(そう)代から明(みん)代にかけて、短棹円形胴の月琴(げっきん)を生み、明代に胴がやや小形の八角形になり、長棹八角胴の阮咸となった。日本の清楽(しんがく)でもこの長棹八角胴の阮咸(4弦12柱)が用いられている。なお、日本の明楽では、長棹八角胴の楽器を月琴とよんでいる。
[シルヴァン・ギニアール]
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…ローマ帝国時代には,個々の賢人や七賢人全員の肖像をモザイクや壁画に描くことが流行した。【藤縄 謙三】(2)中国,三国魏の末期,放達の行為で知られた7人の自由人,すなわち阮籍(げんせき),嵆康(けいこう),山濤(さんとう),王戎(おうじゆう),向秀(しようしゆう),阮咸(げんかん),劉伶(りゆうれい)。一般に〈竹林の七賢〉とよばれるのは,嵆康の郷里の山陽(江蘇省淮安県)の竹林にあつまって酒をくみかわし,談論にふけったからである。…
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