〈ぼうしゃりん〉とも読む。砂が風によって飛ばされ,このため産業や生活条件が被害をうける場合,これを防止する目的で造成された森林。とくに公共的に必要とする個所での森林は飛砂防備保安林に指定されている。日本では地形が急峻であり,多雨でもあるので,山地より多量の土砂が生産されて,海に運び出される。これらの砂は季節風によって陸上に吹き上げられる。北西の季節風が直接吹きつける日本海側の砂浜では,とくに飛砂が甚だしく,平地の水田や部落が被害を受けるので,古くから砂留林(すなどめばやし)を造成している。秋田藩で正徳年代(1711-16)以降,能代海岸の砂地に造林をすすめてきたほか,庄内藩の吹浦地方での海岸林造成など,その例はきわめて多い。植付けの樹種はクロマツを主とし,ネムノキ,グミ,ヤナギ,ハギ,などが用いられ,昭和に入ってはニセアカシアも用いている。旧藩時代は村中一統で保護管理し,落枝・枯損木は燃料に,下草・落葉は肥料に用いられた。明治以降は各藩でつくった海岸林を国の立場で管理し,さらに海岸砂防林を大規模に造成している。しかし,最近では,大規模工業団地,大規模農地造成で海岸林が伐採されたため,近年は環境保全あるいは風致景観維持のために保護する運動が盛んになっている。
執筆者:筒井 迪夫
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…〈ぼうしゃりん〉とも読む。砂が風によって飛ばされ,このため産業や生活条件が被害をうける場合,これを防止する目的で造成された森林。とくに公共的に必要とする個所での森林は飛砂防備保安林に指定されている。日本では地形が急峻であり,多雨でもあるので,山地より多量の土砂が生産されて,海に運び出される。これらの砂は季節風によって陸上に吹き上げられる。北西の季節風が直接吹きつける日本海側の砂浜では,とくに飛砂が甚だしく,平地の水田や部落が被害を受けるので,古くから砂留林(すなどめばやし)を造成している。…
※「防砂林」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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