転勤もあり、仕事内容もあらかじめ決められていない一般の正社員と異なり、勤務地や職種、労働時間を限った働き方をする。政府は昨年6月にまとめた成長戦略に普及を盛り込んでいる。厚生労働省によると、既に全体の約5割の企業が「優秀な人材の確保や従業員の定着」などを理由に導入。最近でもファーストリテイリングが、運営する衣料品チェーン「ユニクロ」の国内店舗で働くパートとアルバイト約1万6千人を地域限定正社員にすると表明した。深刻な人材不足の中、導入企業が増えることも予想される。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
勤務地、労働時間、仕事内容(職務・職種)を限定して選択できる正社員。それぞれ「勤務地限定正社員」「短時間正社員」「職務限定正社員」とよばれ、厚生労働省は「多様な正社員」と位置づけている。転勤・残業などがある正社員と、パートや派遣労働者などの非正規雇用労働者の中間的な働き方である。転勤、残業、職種変更などがなく、育児・介護などのために勤務地や労働時間を限定したい人にとっては、本人の希望に沿った働き方ができる。正社員であるため、一般に有期雇用の場合より給与や福利厚生などの待遇がよく、人生設計がしやすく、住宅ローンなどを借りやすい利点がある。一方、賃金や賞与などの報酬、昇格・昇進などで、通常の正社員に比べ劣る場合がある。地域や職種が限られた限定正社員は、工場閉鎖や事業撤退の際に、雇用が維持されるかどうか不明確な面があり、厚生労働省は労使間で解雇や正社員への転換などの雇用ルールを取り決め、就業規則などに規定し、限定正社員本人に書面で明示するよう求めている。厚生労働省の2022年度(令和4)雇用均等基本調査によると、限定正社員制度のある事業所は全体の24.1%であった。金融業・保険業、複合サービス事業、不動産業・物品賃貸業、電気・ガス・熱供給・水道業などで導入する企業が多い。
バブル経済の崩壊以降、日本企業はコスト削減を優先し、正規雇用を抑え非正規雇用を増やした結果、2022年には非正規雇用が役員を除く雇用者の約37%を占め、正規雇用との賃金・待遇格差や消費低迷などの問題を招いた。政府は2013年(平成25)、産業競争力会議や規制改革会議で、限定正社員の雇用ルール整備を提案。厚生労働省は2014年に、限定正社員の採用から退職までの課題に対応する「雇用管理上の留意事項」を公表。同一雇用主に5年を超えて雇われた非正規雇用者を正社員と同様に働けるようにする「無期転換ルール」が2018年に適用されたこともあり、非正規雇用から限定正社員への移行を促している。
[矢野 武 2023年9月20日]
(2013-5-28)
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