いんよう‐せきインヤウ‥【陰陽石】
- 〘 名詞 〙 男女の陰部に似た形の石。女性の陰部の形状をしたものを陰石、男性の陰部に似たものを陽石という。俗信によってこの二石を並べてまつったりする。
- [初出の実例]「『此へんで陰陽石(インヤウセキ)といふめうな石を売るよ』〈略〉『男と女のれいこくなりの石サ』」(出典:洒落本・面美多勤身(1790‐91頃))
- [その他の文献]〔水経注‐夷水〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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陰陽石 (いんようせき)
男女生殖器の形の石で,道祖神,サエノカミとしてまつられたり,あるいは奉納される場合が多い。陰は女性,陽は男性であるが,人工的に刻む場合と,自然石にそのような形を認め,これをまつる場合とがある。陽石のみがまつられる例が多いが,陰陽が組になったものは中部・関東地方に分布している。陽石一つの周りに丸石が複数まつられる例や陰陽2石が併祀される例がある。陰陽石は村境にまつられることが多く,邪気や外敵の侵入を防ぐものとされるが,これは男女の生殖器が潜在的に強力な呪力をもつという信仰によるものと考えられる。また,その形態から安産,子育て,縁結びの神として信仰される例も多い。祭日は主として小正月で,子どもたちの手でまつられることも注目される。
執筆者:蛸島 直
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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陰陽石
いんようせき
性信仰に基づき、信仰や俗信の対象になっている、男女の性器をかたどった石。それと見える自然石の場合と、人工を加えたものの場合とがある。陰陽を併置したものもあるが、陽石だけのものも多い。道祖神の神体になったもの、金勢(こんせ)大明神、子種石、子孕(はら)み石などの名称をもつものなどがある。畑の中に祀(まつ)って豊作を祈願するものもあるが、村境や峠に祀るものが多く、全国各地に広く分布している。
[井之口章次]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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陰陽石
(宮崎県小林市大字東方陰陽石)
「宮崎観光遺産」指定の地域遺産。
三之宮峡の下流にあり、霧島火山帯の溶岩が造り出した巨大な奇石。男石(陽石)が高さ17.5m、女石(陰石)が周囲5.5m。「よろず生産の神」「子宝の神」として古来から祀られている。別名「竜岩」夫婦岩」
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
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