男女の名や年齢を書いた紙をこよりにして、社寺の格子や樹木に結び付けて、縁の結ばれるように祈願すること。夫婦となるのは前世の宿縁によるものだという思想は、仏教をも含めて中国思想であるが、昔からわが国のなかにもこの考え方は強かった。有名な常陸帯(ひたちおび)の伝承は、常陸(茨城県)の鹿島(かしま)神宮に伝えられたもので、神宮の正月14日の祭りの日に、相思の男女が麻の帯にそれぞれ名前を書いて神前に供えると、神官がそれを結び分けるのを受けて、結婚の成否を占うという故事で、古くから歌枕(うたまくら)としても使われ、常陸帯の語は平安期の物語や歌のなかにもみられる。同じ伝承や習俗は民間にもあって、もっともよく知られているのは陰暦10月の神無月(かんなづき)に諸国の神々が出雲(いずも)大社に集まって、すべての男女の縁を決めるという言い伝えである。本州中部ではだいたい9月の末から10月の初めに出発されると考えられていて、九州北部海岸地帯には出発の日を神渡し、お帰りの日を神戻しといって、両度とも神社に参詣(さんけい)する所があるし、この2日はそれぞれ都合のよい方向の風が吹くと言い伝えられている。各村々の氏神の祭りにも同様な言い伝えがあって、若い男女が参拝する地も多い。そのほか縁結びの祈願の対象となるのは、地蔵様、観音様が多く、その縁日にはとくに若い人の参拝が多かったので、結果的に縁結びの端緒となったものも多い。神仏だけではなく、各地に多い相生松(あいおいのまつ)、夫婦木(めおとぎ)、夫婦石なども祈願の対象となった。路傍の神としての道祖神(どうそじん)もやはり男女の縁結びに深い関係をもっていて、男女双立の神像を和合神などとよぶ。岩手県の山村には婚礼の仲人(なこうど)をサイノカミとよぶ所もある。サイノカミは道祖神のことである。以上の習俗を遊戯化したものに「縁結び」とか「宿世結び」という遊びがある。紙片に1枚ごとに男と女の名を記し、これを無作為に結んでその結果を楽しんだものである。
[丸山久子]
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
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