陸中国(読み)リクチュウノクニ

デジタル大辞泉 「陸中国」の意味・読み・例文・類語

りくちゅう‐の‐くに【陸中国】

陸中

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日本歴史地名大系 「陸中国」の解説

陸中国
りくちゆうのくに

明治元年(一八六八)一二月七日の布告により陸奥国が三分割され、中央部が陸中国となった。磐井いわい胆沢いさわ江刺えさし和賀わが稗貫ひえぬき紫波しわ岩手いわて閉伊へい九戸くのへ各郡は現岩手県域で、鹿角(現鹿角市・鹿角郡)のみが現秋田県域である。行政的な区分ではなく、明治四年の廃藩置県により消滅した。西は羽後、南は陸前、北は陸奥と接し、東端は太平洋となる。東部は北上山脈、西は奥羽山脈が南北に走り、その間に北上川および諸支流が若干の平野・盆地をつくる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「陸中国」の意味・わかりやすい解説

陸中国
りくちゅうのくに

旧国名。現在の岩手県のほぼ全域秋田県の一部にあたる。陸奥(むつ)国の中央部に位置することから陸中と称した。明治維新政府は、維新に際して奥羽越(おううえつ)列藩同盟を結んで新政府に抵抗した陸奥国と出羽国に対し、1868年(明治1)12月7日付けの太政官(だじょうかん)布告において、「広く教化を施し、風俗を移易し、人民撫育(ぶいく)の道を厚く」するとの目的で分国を行ったが、このとき、陸奥国から分かれた5国の一つ。初め磐井(いわい)、胆沢(いさわ)、江刺(えさし)、和賀(わか)、稗貫(ひえぬき)、紫波(しわ)、岩手、鹿角(かづの)、閇伊(へい)、九戸(くのへ)の10郡よりなる。

 1869年8月、胆沢県、江刺県、九戸県を建置、また盛岡県なども置かれたが、71年11月、従来の諸県を廃して、閇伊、和賀、稗貫、紫波、岩手、九戸の6郡をもって盛岡県、胆沢、江刺、磐井の3郡と陸前国5郡をもって一関(いちのせき)県が成立、鹿角郡は秋田県へ入った。翌72年1月、盛岡県を岩手県と改称一関県水沢県を経て75年11月、磐井県となり、磐井県は岩手県に合併されたが、76年4月、陸前5郡を宮城県へ移管、同年5月、陸前国気仙郡と陸奥国二戸郡を岩手県に編入して、現在に至る。

[菊池克美]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「陸中国」の解説

陸中国
りくちゅうのくに

1868年(明治元)陸奥国を分割して新設された国。現在の岩手県の大半と秋田県の一部。当初は磐井(いわい)・江刺(えさし)・胆沢(いさわ)・和賀(わが)・稗貫(ひえぬき)・紫波(しわ)・閉伊(へい)・岩手・九戸(くのへ)・鹿角(かづの)の10郡が属した。翌年江刺・胆沢・九戸の各県と新盛岡藩領・一関(いちのせき)藩領となる。新盛岡藩は70年盛岡県となり,翌年廃藩置県で一関藩は一関県となって胆沢県と江刺県の大半を併合,閉伊・九戸郡が盛岡県,鹿角郡が秋田県に属した。盛岡県は72年に岩手県と改称,一関県は水沢県・磐井県と改称し,76年岩手県に併合。

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百科事典マイペディア 「陸中国」の意味・わかりやすい解説

陸中国【りくちゅうのくに】

旧国名。現在の岩手県の南東部と北西部を除くほぼ全域。1868年陸奥(むつ)国を分割して新設。1876年当国域にあった9郡を岩手県,鹿角(かづの)郡を秋田県に編入。
→関連項目三陸海岸

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「陸中国」の意味・わかりやすい解説

陸中国
りくちゅうのくに

現在の岩手県 (秋田県の一部を含む) の旧名。明治1 (1868) 年陸奥国を5ヵ国に分割した際成立。 12郡。一関,盛岡の藩があり,同4年の廃藩置県後,盛岡,江刺,一関の3県となり,若干の変動後,1876年に岩手県となった。

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世界大百科事典(旧版)内の陸中国の言及

【陸奥国】より

… 1868年(明治1)戊辰戦争に際し諸藩は奥羽越列藩同盟を結んだが,会津戦争に敗れた。新政府は同年12月領地没収などの処分を行うとともに,陸奥国を磐城(いわき)国(現,福島県東部と宮城県南部),岩代(いわしろ)国(現,福島県中・西部),陸前国(現,宮城県中・北部と岩手県南東部),陸中国(現,岩手県の大部分と秋田県北東部),陸奥国(現,岩手県北西部と青森県)の5国に分割した。【渡辺 信夫】。…

※「陸中国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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