デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「隆円」の解説
隆円(1) りゅうえん
天元3年3月4日生まれ。藤原道隆の子。延暦(えんりゃく)寺の実因の弟子。のち小松寺の住持となった実因にちなみ,小松僧都とよばれる。寛弘(かんこう)8年(1011)権(ごんの)大僧都。摂政関白の子が僧綱になったはじめての例といわれる。「枕草子」に「僧都の君」として登場。和歌をよくした。長和4年2月4日死去。36歳。通称は普賢院僧都。
隆円(2) りゅうえん
嘉応(かおう)2年生まれ。四条隆季(たかすえ)の子。天台宗。道顕にまなび,公胤(こういん)に灌頂(かんじょう)をうける。建久年間宮中で宗義(しゅうぎ)を説く。建保(けんぽ)4年近江(おうみ)(滋賀県)園城(おんじょう)寺で題者(だいしゃ)をつとめた。嘉禄(かろく)元年12月5日死去。56歳。
隆円(4) りゅうえん
寛元元年(1243)後嵯峨(ごさが)天皇の中宮姞子(きつし)(大宮院)の安産祈願に七仏薬師像を制作。また蓮華(れんげ)王院(三十三間堂)再建に際し,千体仏再興仏師のひとりとして22体の木造千手観音像をつくった。
隆円(3) りゅうえん
14歳ごろに出家。宝治2年(1248)京都の琵琶(びわ)の名人法深房(藤原孝時)のもとに身をよせ,琵琶を中心とする芸能相承の次第をしるした「文机談(ぶんきだん)」をあらわす。三河(愛知県)出身。通称は文机房。