随兵(読み)ズイヒョウ

デジタル大辞泉 「随兵」の意味・読み・例文・類語

ずい‐ひょう〔‐ヒヤウ〕【随兵】

《「ずいびょう」とも》
供として連れる兵士随行の兵。
平安末期から鎌倉初期にかけて、検非違使けびいしに従って治安の維持に当たった騎兵
中世将軍外出のとき、その前後を警護した騎兵。

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精選版 日本国語大辞典 「随兵」の意味・読み・例文・類語

ずい‐ひょう‥ヒャウ【随兵】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「ずいびょう」 )
  2. 供につれる兵士。随行の兵士。
    1. [初出の実例]「敵を責めて罸(うたむ)が為に員の随兵を率して既に戦かふ間」(出典:今昔物語集(1120頃か)一七)
    2. 「ソノ シャメン ヲ アタユル ゾト イッテ、ソノ ミ ワ zuibiǒ(ズイビャウ) ヲ グシテ カエリ」(出典:サントスの御作業の内抜書(1591)一)
  3. 平安末期から鎌倉時代にかけて、検非違使にしたがって出行する甲装騎馬の兵士。
    1. [初出の実例]「検非違使の随兵はよろひきて、胡籙をひて、太刀をはかぬなり」(出典:衛府官装束抄(1314頃))
  4. 中世、将軍や貴人の出行や神輿渡御の時に武装して騎馬でその前後を警護した武士。ずいへい。
    1. [初出の実例]「随兵(ズイヒャウ)卅余騎、車の前後にうちかこで守護し奉る」(出典:高野本平家(13C前)一〇)

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改訂新版 世界大百科事典 「随兵」の意味・わかりやすい解説

随兵 (ずいひょう)

武装して主君大将に随従し,その警固にあたる武士一般を指す場合もあるが,ふつうは鎌倉・室町両幕府にあって,将軍の拝賀参内や寺社参詣等の行列に,甲冑をつけ,弓矢を帯し,騎馬にて随行する将軍の身辺警固のための武士をいう。随兵は将軍の車輿を中に,先陣後陣の別があり,左右2列または3列に並ぶ。先陣,後陣では将軍の近く,左右では左,3列では中央に位置する者がそれぞれ上位である。行列の規模によってその人数も異なるが,十数騎から時には100騎を超える随兵が,おのおの武装した家の子,郎党を率いて供奉する。源頼朝は,随兵を務める者は〈譜代勇士,弓馬達者,容儀神妙〉という三つの徳を兼ね備えた武士でなければならないと言ったと《吾妻鏡》は伝えているが,鎌倉・室町両幕府の御家人にとって随兵に選ばれることは,きわめて名誉なことであり,中世武士の諸家系図にはこのことを注記した事例もいくつかある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「随兵」の意味・わかりやすい解説

随兵
ずいひょう

普通には,供として従う兵のことをいうが,鎌倉,室町幕府では,将軍外出時の護衛のための武装騎馬武者をいった。上番下番,先陣,後陣,2列あるいは3列に並び,各自兜を従者に持たせて従ったという。

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普及版 字通 「随兵」の読み・字形・画数・意味

【随兵】ずいへい

従兵

字通「随」の項目を見る

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