(読み)ズイ(その他表記)Suí

デジタル大辞泉 「随」の意味・読み・例文・類語

ずい【随〔隨〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ズイ(呉) [訓]したがう まま まにまに
他人の後にそのままついていく。「随員随行随従随伴追随付随夫唱婦随
成り行きにまかせる。「随意随時随想随筆気随
[名のり]あや・みち・ゆき・より
難読随神かんながら随意まにま

ずい【随】

[名・形動ナリ]《「気随」の略》勝手気ままであること。また、そのさま。自由勝手。
「子ヲ―ニ習ワカス」〈日葡

まに‐ま【随/随意】

他の意志事態の成り行きに従うさま。
大君の命の―ますらをの心を持ちてあり巡り」〈・四三三一〉

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精選版 日本国語大辞典 「随」の意味・読み・例文・類語

ずい【随】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) ( 「気随(きずい)」の略 ) 気の向くままにすること。気ままなこと。また、そのさま。勝手。
    1. [初出の実例]「心敬云、老たる徳は、老の連歌すいにすることありしとなり」(出典:兼載雑談(1510頃))
    2. 「伜の時分からずいにそだった物じゃによってあのやうな事じゃ」(出典:波形本狂言・忠喜(室町末‐近世初))
  3. 易の六十四卦の一つ、。上卦は兌(だ)(沢)、下卦は震(しん)(雷)。沢雷随ともいう。兌は悦を、震は動を表わし、君主が動いて天下の民がよろこび随(したが)うさまを示す。

まに‐ま【随・随意】

  1. 〘 名詞 〙 他の意志や事態の成り行きに従うさま。
    1. [初出の実例]「かにかくにと念ひさまたく事なくして教へ賜への末仁末(マニマ)奉侍(つかへまつれ)」(出典続日本紀‐天平宝字八年(764)一〇月一四日・宣命)

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普及版 字通 「随」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(旧字)隨
16画

[字音] ズイ
[字訓] したがう

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は隨に作り、隋(ずい)声、隋は祭の余肉。〔説文〕二下に「從ふなり」とし、墮(堕)(だ)の省声とする。墮は祭肉を埋めて地を祀る下祭の儀礼。神の在る所に従って祀る意。随時随所、神の在るところに従って祀るので、随従の意となる。わが国では「随神」を「神(かん)ながら」とよむ。

[訓義]
1. したがう、つきしたがう。
2. おう、まかせる、つづく。
3. ことにつれ、ものごとに。
4. つきそい、とも、したやく。
5. あし。

[古辞書の訓]
名義抄〕隨 シタガフ・ユク・オフ・ナラフ・アシ

[語系]
隨ziuai、墮duaiは声義近く、神のある所に随って、祭肉を埋める下祭の儀礼を墮という。

[熟語]
随意・随・随縁・随駕・随宦・随感・随喜・随宜・随迎・随肩・随後・随口・随行・随坐・随時・随侍・随手・随従・随順・随処・随所・随序・随唱・随踵・随仗・随心・随身・随声・随勢・随即・随逮・随逐・随直・随丁・随輩・随陪・随伴・随班・随筆・随風・随分・随兵・随便・随包・随封・随来・随藍・随鑾・随鸞
[下接語]
委随・意随・影随・鴈随・随・教随・群随・肩随・行随・順随・倡随・臣随・追随・天随・陪随・伴随・付随・夢随

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改訂新版 世界大百科事典 「随」の意味・わかりやすい解説

随 (ずい)
Suí

中国,周代諸侯国の一つ。姓は姫,爵は侯。春秋時代を通じて存続し,戦国の初めに楚に滅ぼされたと考えられるが,封建された時代や事情などについては不明な点が多い。都邑は現在の湖北省随県とみる説が有力。しかし随県城の北西にある前5世紀ころの古墓(曾侯乙墓(そうこういつぼ))から〈曾侯〉の銘のある青銅器が出土しており,随と曾との関係が論議されている。なお,隋・唐の隋とは,楊堅(文帝)の父の楊忠が北周のとき随国公に封ぜられたことによる命名とされる。
執筆者:

1978年,随県擂鼓墩で調査された戦国時代初期(前5世紀後半)の曾国の乙侯の墓。岩に不規則多辺形の竪穴墓坑を掘り,中に4室からなる木槨室をつくり,そのまわりに木炭と白陶土をまいていた。東槨室内に漆絵が描かれた二重の木製の主棺があり,ともに21個の殉葬者棺と犬棺が1個あった。副葬品は楽器,銅礼器,武器,金器,玉器,漆木竹器,竹簡など7000余点があり,なかでも3層の木製の横木にかけられた,最大が高さ153.4cmある64点の編鐘と鎛鐘1点,編磬32点,鼓,瑟,排簫などの楽器のセットはとくに注目される。また漆箱のふたには青竜白虎と朱書きされた二十八宿名称のある図があり,二十八宿の考えが早く中国におこったことを示す。銅礼器のセットや高度の鋳造技術を駆使した銅器も注目される。
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