顕教(読み)ケンギョウ

デジタル大辞泉 「顕教」の意味・読み・例文・類語

けん‐ぎょう〔‐ゲウ〕【顕教】

仏語言語文字で明らかに説いて示した教え。密教以外の仏教のこと。また、真言宗では釈迦の説いた教えをいい、天台密教では一乗に対して三乗の教えをいう。顕宗。⇔密教

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共同通信ニュース用語解説 「顕教」の解説

顕教

空海は、法相ほっそう宗など従来の大乗仏教を「顕教」とひとくくりに呼び、密教と明確に区別した。言葉だけでは語り尽くせない真理を、大日如来が直接解き明かすのが密教である、と主張した。顕教の経典では、悟りを開くまでに途方もない時間が必要としているが、密教はいま生きているままで悟りを開くことができるという「即身成仏」の立場をとっている。

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精選版 日本国語大辞典 「顕教」の意味・読み・例文・類語

けん‐ぎょう‥ゲウ【顕教】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。顕(あら)わにわかりやすく説き示した教え。真言宗では釈尊の説いた教えをさし、天台宗では一乗に対して三乗をいう。顕宗。けん。⇔密教
    1. [初出の実例]「顕教宗者、不授業之師、至真言教者、未灌頂者、不一句」(出典日本三代実録‐元慶八年(884)九月一七日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「顕教」の意味・わかりやすい解説

顕教
けんぎょう

密教に対する概念。真言宗では自らの宗の教えと他の宗の教えとを、密教と顕教に分け、密教に思想的優越性を与えた。密教とは法身(ほっしん)(仏の本身たる永遠不滅の法)の大日如来(だいにちにょらい)が自らの悟りの世界をそのまま説いた教えで、けっして表面上では知りえない秘密の教えである。これに対し、顕教とは人々の能力とか性質に従って、報身(ほうじん)(善業の報いとして現れた仏身)、応身(おうじん)(衆生(しゅじょう)に応じて現れた仏身)により説かれたもので、迷いを除き悟りを開く教え、あるいは修行をしてその結果悟りを開く教えといわれている。密教では自らの教え以外は顕教であるとしている。

[由木義文]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「顕教」の解説

顕教
けんぎょう

文字・言語などであらわに説かれた教え。仏教を教義内容,教の説き方で分類したもので,密教に対する語。真言密教では大日如来がみずから味わう究極の教えを密教とし,顕教は大日如来の化身である釈迦が衆生(しゅじょう)の能力に応じてわかりやすく明確に説いたものとする。真言宗は「法華経」「華厳経」なども顕教として密教の優位を説くが,天台宗ではそれらも密教の理論を説いている(理密教)とし,顕密一致を説く。

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百科事典マイペディア 「顕教」の意味・わかりやすい解説

顕教【けんぎょう】

仏教において密教の対。〈げんきょう〉とも。顕密二教とも使う。顕は顕露・顕示の意。真言宗では《大日経》《金剛頂経》による教法を密教といい,他は顕教。

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旺文社日本史事典 三訂版 「顕教」の解説

顕教
けんぎょう

仏教のうち密教以外のもの
釈迦が平明に説いた教えを顕教とする。空海が『弁顕密二教論』『十住心論』の中で密教に対して用いた語で,南都六宗や天台宗などを顕教としたが,天台ものちに密教化し,台密といわれた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「顕教」の意味・わかりやすい解説

顕教
けんぎょう

仏教用語。密教からみて,密教外の仏教のもろもろの教えをさす語。普通の人々にもわかるように,言語文字のうえに,明らかに説き示された教えの意。

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