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一乗 いちじょうekayāna

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

一乗
いちじょう
ekayāna

仏教の種々の教説はいずれも存在意義があり,それぞれ釈尊が人々を導くために方便として説いたもので,実は唯一の真実の教えがあるのみであるとする思想。『法華経』に非常に顕著に現れ,釈尊の説いたことを聞いたうえでの実践 (声聞乗) ,単独で悟りを開く実践 (縁覚乗) ,自他ともに悟ろうとする実践 (菩薩乗) のすべてが一つに帰すると考える。天台宗では『法華経』の思想を体得すればそれがそのまま一乗であるとする。

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デジタル大辞泉の解説

いち‐じょう【一乗】

《唯一の乗り物の意》仏語。仏の真実の教えは絶対平等であり、それによってすべての人が成仏できると説く教法。教法を悟りの彼岸に運ぶ乗り物にたとえた語。法華経を中心に置く天台宗で特に強調。一仏乗

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百科事典マイペディアの解説

一乗【いちじょう】

仏乗とも。サンスクリット,エーカヤーナの訳。乗は悟りにおもむかせる教えのたとえで乗物の意。仏教の真実の教えは唯一で,どんな衆生(しゅじょう)も一様に仏になりうると説く教えで,大乗仏教極致とされる。

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世界大百科事典 第2版の解説

いちじょう【一乗】

梵語eka‐yānaの訳。一つの乗りものという意味である。一仏乗のことで,三乗(声聞乗,縁覚乗,菩薩乗)に対する語。衆生を乗せて悟りにおもむかせる教えにたとえたもの。仏陀は人間の素質や能力に応じて種々の説(三乗)を説いたが,それらは人びとを導くための方便にすぎず,実は唯一つの真実の教えがあるのみで,それによっていかなる人間もすべて平等に仏に成ることができると説く。法華・勝鬘・華厳等の大乗経典の所説で,とくに《法華経》(方便品)は,三乗の教えを方便の権説とし,一乗の教えのみが真実説であり,三乗教も究極的にはこの一乗教に帰するものであることを明らかにしたので有名。

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大辞林 第三版の解説

いちじょう【一乗】

〘仏〙 仏の真の教えは唯一であり、それによってすべての衆生しゆじようが成仏できると説く教法。法華経をさすことが多い。一仏乗。 → 三乗五乗

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

一乗
いちじょう

仏教の教理用語。サンスクリット語のエーカ・ヤーナeka-yna(一つの乗り物)の訳語で、乗(乗り物)は、人々を乗せて仏教の悟りに赴かせる教えをたとえていったもの。仏教にはさまざまな教えがあるが、いずれも仏が人々を導くための手段として説いたもので、真の教えはただ一つであり、その教えによってすべてのものが等しく仏になると説くことをいう。この主張はインドの初期大乗仏教において成立したもので、とくに『法華経(ほけきょう)』で強調されている。すなわち、仏の教えは人々の資質や能力に応じて声聞(しょうもん)乗(仏弟子の乗り物)、縁覚(えんがく)乗(ひとりで覚(さと)った者の乗り物)、菩薩(ぼさつ)乗(大乗の求道(ぐどう)者の乗り物)の三乗に分けられるが、この三乗は一乗(一仏乗ともいう)に導くための方便(ほうべん)にすぎず、究極的にはすべて真実なる一乗に帰すと説く。この一乗の思想は大乗仏教の精髄を示すものとして後代の仏教に大きな影響を与え、中国の天台(てんだい)宗、華厳(けごん)宗においてとくに重視された。[藤田宏達]

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世界大百科事典内の一乗の言及

【一乗要決】より

…3巻。法相宗において人の資質や能力に応じて声聞(しようもん)・縁覚・菩薩に固有の3種の悟りの道があるとする三乗説を反駁し,天台宗の立場から《法華経》に説く,悟りに導く教えはただ一つしかなく,いかなる衆生もすべて仏になれるとする一乗説を主張。一乗思想が真実の教えで,三乗思想が方便であることを諸経論の引用で立証した。…

※「一乗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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