報身(読み)ホウジン

デジタル大辞泉 「報身」の意味・読み・例文・類語

ほう‐じん【報身】

仏語。仏の三身の一。菩薩ぼさつであったときに願を立て、修行を積んだ報いとして得た仏身

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精選版 日本国語大辞典 「報身」の意味・読み・例文・類語

ほう‐じん【報身】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] saṃbhoga-kāya の訳語。「ほうしん」とも ) 仏語。仏の三身の一つ菩薩であったとき願を立て、修行の成就によって、その報いとして得た仏身をいう。たとえば阿彌陀仏。また、四身のうち自受用身と他受用身の二つを合わせた仏身。
    1. [初出の実例]「常言羅漢時已証尽無生二智。而羅漢時、報身未亡、猶在三界内」(出典法華義疏(7C前)二)
    2. 「応身報身までは心及び、法身に至りては絶々(たえだえ)の所なるべし」(出典:ささめごと(1463‐64頃)上)
    3. [その他の文献]〔三蔵法数‐八〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「報身」の意味・わかりやすい解説

報身
ほうじん

仏教用語。サンスクリット語サンボーガカーヤsabhogakāyaの漢訳で、仏(ぶつ)の三身(さんじん)(法身(ほっしん)、報身、応身(おうじん))の一つ。悟りを求める人(菩薩(ぼさつ))が仏になるための因としての行を積み、その報いとしての功徳(くどく)を備えた仏の身体。また報身には法身、応身を統合したような概念があり、永遠な真理が現存する生きた姿として現れた仏身を意味する。

坂部 明]

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百科事典マイペディア 「報身」の意味・わかりやすい解説

報身【ほうじん】

過去(がん)と行(ぎょう)が原因で現在無限の力とすぐれた容姿をもって現れている仏。法身(ほっしん)・応身とともに三身の一つ。衆生救済のため常に説法し,常に光を放つとされる。阿弥陀(あみだ)仏薬師如来などが代表的。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「報身」の意味・わかりやすい解説

報身
ほうじん
saṃbhogakāya

仏教用語。法,報,応の三身の一つ。菩薩が願を立て修行し,多くの年月の間に精進努力した報いによって,仏徳の顕現した身体をいう。

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世界大百科事典(旧版)内の報身の言及

【仏身論】より

…大乗仏教になって仏身に関する思索が深まり,中観派の竜樹,さらには瑜伽行派の弥勒(マイトレーヤ),無著世親らの論師たちによって最終的に3種の仏身をたてる〈三身説〉が成立した。三身とは(1)法身(ダルマ・カーヤdharma‐kāya),(2)報身(サンボーガ・カーヤsambhoga‐kāya),(3)応身(化身,ニルマーナ・カーヤnirmāṇa‐kaya)の3種,あるいは(1)自性身(スババーバ・カーヤsvabhāva‐kāya),(2)受用身(サンボーガ・カーヤsambhoga‐kāya),(3)変化身(ニルマーナ・カーヤnirmāṇa‐kāya)の3種をいう。これら三つは論師あるいは宗派によって微妙に解釈を異にするが,前者の三身を略説すると次のごとくである。…

【仏陀】より

…仏教では仏陀として過去七仏,未来仏としての弥勒仏,過去・現在・未来の三千仏などが考えられるようになった。また三身の説,すなわち真理そのものとしての法身(ほつしん)仏(たとえば毘盧遮那(びるしやな)仏),願を立てて浄土の主となり衆生の救済をはかる報身(ほうじん)仏(たとえば阿弥陀),娑婆世界に人間の姿をとって現れる応身(おうじん)仏(たとえば釈迦牟尼仏)の説が出現した。仏(ぶつ)仏教【定方 晟】。…

※「報身」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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