風眼(読み)フウガン

デジタル大辞泉 「風眼」の意味・読み・例文・類語

ふう‐がん【風眼】

膿漏眼のうろうがんの俗称。

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精選版 日本国語大辞典 「風眼」の意味・読み・例文・類語

ふう‐がん【風眼】

  1. 〘 名詞 〙 淋菌に感染して起こる急性結膜炎。黄色い膿が流れ出し、病状が進むと、失明することもある。淋菌性結膜炎膿漏眼(のうろうがん)。また、その病気にかかった目。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「風眼」の意味・わかりやすい解説

風眼 (ふうがん)

淋菌性結膜炎gonorrheal conjunctivitisの俗称。風や空気が原因でこの病気が起こるとされたことから,古くからこの名で呼ばれた。淋菌によって起こる結膜炎で,強い眼瞼および結膜の腫張と,大量の膿様眼脂(目やに)を伴う。病変はしばしば角膜にも及び,角膜穿孔(せんこう)を起こし,あるいは白い癒着白斑を残す。耳前リンパ節は疼痛を伴い腫張する。潜伏期はごく短く,数時間から3日程度で突然に発症する。2~3週で眼脂は消退するが,乳頭肥厚を伴う結膜炎は数週間持続し,この間も淋菌は存在し,感染の危険を有する。母親が感染している新生児では,産道を通る際に感染し出生直後より強い症状を呈する。これを新生児膿漏眼というが,これを予防するために,出産直後に新生児の眼にクレーデ点眼を行う。大人では陰部からの直接感染による。男性の場合,初めに右眼に起こることが多い。治療の第1の目標は他眼への感染予防であり,ペニシリン,アミノグリコシドの点眼を数時間にわたり,数分ごとに精力的に行い,また防御のための眼帯をする。患眼に対しては抗生物質を含んだ大量の温生理食塩水で洗眼を行い,膿様眼脂を洗い流し,その後抗生物質の点眼を行う。幸い,日本ではきわめて少なくなってきている。
淋病
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「風眼」の意味・わかりやすい解説

風眼
ふうがん

淋(りん)菌性結膜炎のことで、膿(のう)性の目やにが多量に出ることから膿漏眼ともよばれる。症状が激烈で、角膜が冒されて失明することがあり、風眼という名で恐れられた。

内田幸男

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百科事典マイペディア 「風眼」の意味・わかりやすい解説

風眼【ふうがん】

膿漏眼とも。淋(りん)菌性急性結膜炎。一般に出産の際,産道などから感染する新生児結膜炎で,潜伏期1〜3日で,結膜は赤くはれ,初め漿液(しょうえき)性やがて膿性の分泌物が多量に出る。角膜が冒されると,潰瘍(かいよう)を生じ,穿孔(せんこう)を起こし,失明することがある。治療はペニシリンなど抗生物質の投与。新生児に対しては,クレーデ点眼(1〜2%硝酸銀液の点眼)で予防する。

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普及版 字通 「風眼」の読み・字形・画数・意味

【風眼】ふうがん

結膜炎。

字通「風」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の風眼の言及

【目∥眼】より

…江戸時代には馬島流のほか41派におよぶ眼科専門医が各地で流派を競っていたことは,日本に眼病の多かったことを物語る。眼病のうち最も恐れられていたのは風眼(ふうがん)で,目が急にはれあがり,血膿が流れ出し,結膜が浮腫し,やがて角膜をかくす。これは淋菌性膿漏眼と推定される。…

【淋病】より

…このような性器の合併症以外に,かつては淋菌性敗血症,淋菌性心内膜炎,淋菌性関節炎,淋菌性結膜炎(淋菌性膿漏眼。俗に風眼ともいう)などを合併することもあったが,最近はほとんどみられない。後遺症として慢性淋菌性尿道炎罹患後数年して尿道狭窄を起こすことが少なくなく,このため尿が出にくくなることがまれではなかった。…

※「風眼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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