風致林(読み)フウチリン

デジタル大辞泉 「風致林」の意味・読み・例文・類語

ふうち‐りん【風致林】

名所旧跡などの景観保存するために指定された森林風致保安林

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精選版 日本国語大辞典 「風致林」の意味・読み・例文・類語

ふうち‐りん【風致林】

  1. 〘 名詞 〙 保安林一つ。名所・旧跡などの風致を保ち、風景を保存・美化するために必要な森林。〔現代語解説(1924‐25)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「風致林」の意味・わかりやすい解説

風致林
ふうちりん

狭義には森林法に定める保安林の一種で、名所や旧跡の趣(おもむき)のある景色などを保存するための風致保安林をいう。風致保存のためとくに必要があると認められる森林は禁伐、その他の森林は択伐(たくばつ)(立木皆伐を避けて選びながら伐採する)の伐採方法が要求される。1998年(平成10)現在の風致保安林の面積は約2万7000ヘクタールで、ここ30年間増加はみられない。

 これに対し広義の風致林は、前記保安林ではないが、広く自然の風致の維持に役だつ森林をいう。自然公園法で指定する特別地域、都市計画法に基づく風致地区、都市緑地保全法に定める緑地保全地区、「都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律」に基づく保存樹・保存樹林などの森林も風致林である。近年はこれら広義の風致林が拡大している。

[笠原義人]

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改訂新版 世界大百科事典 「風致林」の意味・わかりやすい解説

風致林 (ふうちりん)

社寺,名所,旧跡などの風致を保持,助長する目的で維持している森林。とくに必要度の高い場合は風致保安林に指定されている。古くから,領内飾り林,城飾り林,所飾り林として,風致景観を維持するため伐採を禁じた例が多い。たとえば会津藩では,1666年(寛文6)に御領中の飾りであるから容易に切らすことはできないとしている。古くから各藩では同様の目的で社寺の境内林についても保護に意を注いでいる。風致林の対象は幕藩時代と異なり,保安林制度ができて以降は社寺の裏山,あるいは京都西山,東山のように社寺を含めての都市の背景林的なものが主になっている。風致林には森林によるその地域の景観を向上する機能を期待しているが,国立公園としている自然公園のように自然美に主点をおいているのと異なり,人為的な建造物,歴史的所産などに結びついた人間とのつながりがあることが特徴である。したがってこの森林のあるべき姿も歴史的景観,あるいは,過去に見慣れた森林景観の維持ということも重要である。このためには本来は禁伐ではなく,自然の植生遷移を停止しておくべき森林の取扱いを必要とする場合がある。たとえば京都の東山,西山などではその森林構成樹種のうちアカマツを主要樹種として維持することを主課題としているなどである。
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百科事典マイペディア 「風致林」の意味・わかりやすい解説

風致林【ふうちりん】

名所旧跡の風景美観を保つための森林。保安林に指定されるものもある。社寺の裏山など都市の背景林をなすものが多い。

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