養老の滝(読み)ヨウロウノタキ

デジタル大辞泉 「養老の滝」の意味・読み・例文・類語

ようろう‐の‐たき〔ヤウラウ‐〕【養老の滝】

岐阜県南西部、養老山地北部の東麓断層崖にかかる滝。高さ約32メートル。昔、源丞内げんじょうないが湧き出る泉を見つけ、酒であったので老父を養い喜ばせることができたという伝説の地で、元正天皇が行幸して命名し、年号を養老と改めたという。

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精選版 日本国語大辞典 「養老の滝」の意味・読み・例文・類語

ようろう【養老】 の 滝(たき)

[一] 美濃国(岐阜県)の孝子が山で酒の泉を発見する伝説。
[二] 岐阜県南西端、養老山地の断層崖にかかる滝。奈良時代、種々の病気に効験のある醴泉(れいせん)が湧き出たというので、元正天皇が行幸し、年号も改めたと伝える。付近に養老神社養老寺がある。

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日本歴史地名大系 「養老の滝」の解説

養老の滝
ようろうのたき

[現在地名]養老町養老公園

養老山地の東山腹、たき谷の上流にある日本三大名瀑の一とされる滝。一帯揖斐関いびせき原養老はらようろう国定公園に含まれる。標高約二八〇メートル、高さ約三〇メートルで、周囲の楓を中心とする木々の間から落ちる瀑水は幅約七メートルに及び、新緑に映え、また紅葉を映し、四季を通じて観光客が絶えない。この美泉は養老の孝子伝説を生むが、また古く養老改元の事実もある。

養老山地は古く多度たど山と称されていたらしく(美濃雑事紀)、霊亀三年(七一七)九月二〇日、元正天皇は当耆たぎ(多藝郡)に行幸して「多度山美泉」を見、同年一一月一七日には「符瑞書曰、醴泉者美泉、可以養老、蓋水之精也、寔惟、美泉即合大瑞」として、改元が行われた(続日本紀)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「養老の滝」の意味・わかりやすい解説

養老の滝
ようろうのたき

孝子が山で酒の泉を発見したという伝説。元正(げんしょう)天皇のとき、美濃(みの)国(岐阜県)に貧しい父子が住んでいた。老父はことのほか酒を愛し、しきりに欲しがった。あるとき、孝子が山で足をとられて転んだところ、その石の間から泉が湧(わ)き出ていた。なめると酒なので、それをくみ、老父を養い喜ばせた。この話を聞いた天皇は、当地に行幸され、孝心にめでて孝子を美濃守(かみ)に任じ、養老の滝と命名し、年号を養老と改めた。この説話は『古今著聞集(ここんちょもんじゅう)』巻8、『十訓抄(じっきんしょう)』巻六にあり、謡曲『養老』にも脚色されている。現在の養老山には養老神社や養老寺があり、『養老寺縁起』では孝子の名を源丞内(げんじょうない)としている。これに類似する伝説は「子は清水」として全国に伝承され、親が飲むと酒で、子が飲むとただの水という型が多い。社寺にかならず泉があるように、泉はつねに信仰の対象であった。それが酒になったり孝子泉にかわるのも、霊泉に対する希少価値とその信仰や、その水から酒を醸したからである。

[渡邊昭五]

『『孝子泉の伝説』(『定本柳田国男集7』所収・1963・筑摩書房)』

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デジタル大辞泉プラス 「養老の滝」の解説

養老の滝〔滝〕

岐阜県養老郡養老町にある滝。落差32メートル、幅4メートル。名称は、孝行息子が老父のために汲んだ湧水が酒に変わったという「養老孝子伝説」にちなむ。周辺は公園として整備されている。1990年、日本の滝100選に選定された。

養老の滝〔落語〕

古典落語の演目のひとつ。「酒」とも。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「養老の滝」の解説

養老の滝
(通称)
ようろうのたき

歌舞伎浄瑠璃外題
元の外題
蝉丸養老滝
初演
享保6.11(江戸・森田座)

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事典・日本の観光資源 「養老の滝」の解説

養老の滝

(岐阜県養老郡養老町)
日本二十五勝」指定の観光名所。

養老の滝

(岐阜県養老郡養老町)
日本の滝百選」指定の観光名所。

養老の滝

(岐阜県養老郡養老町)
ぎふ百選」指定の観光名所。

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