養老ノ滝(読み)ようろうのたき

改訂新版 世界大百科事典 「養老ノ滝」の意味・わかりやすい解説

養老ノ滝 (ようろうのたき)

岐阜県南西部,養老養老町の県立養老公園内にある滝。滝は養老山地東麓の断層崖にかかり,高さ約30m,幅約4mで,うっそうと茂る樹間に勢いよく落下する。《続日本紀》に717年(養老1)元正天皇が美濃国の不破行宮(ふわあんぐう)に行幸したとき,当耆郡多度山の美泉の効用を知り,これを瑞祥(ずいしよう)として中国の故事にちなみ養老と改元したとの記事があり,《十訓抄》《古今著聞集》には源丞内がわき出る酒を発見し,老父に飲ませて孝養をしたという説話が記される。付近には掬水(きくすい)泉や重要文化財の多い養老寺などがあり,沿道は大きなカエデ樹林で,眼下濃尾平野を一望できる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「養老ノ滝」の意味・わかりやすい解説

養老ノ滝
ようろうのたき

岐阜県養老郡養老町にある滝。養老山地北部の東斜面にかかる滝で、養老町にある新旧二段の滝谷扇状地の中の浅い谷道を西へたどって進み、さらに扇頂部の急坂をあえぐように登りきると養老ノ滝に着く。滝の高さ約32メートル、幅約4メートル。養老ノ滝は県営養老公園の要(かなめ)であり、付近に、孝子源丞内(げんじょうない)が老父に孝養を尽くしたという伝説にゆかりの菊水泉(きくすいせん)や、元正(げんしょう)天皇行宮(あんぐう)跡、養老寺、養老神社などの名所旧跡がある。元正天皇は717年(霊亀3)この地に行幸し、美泉の瑞祥(ずいしょう)により年号を養老と改元した(『続日本紀(しょくにほんぎ)』)。1970年(昭和45)には揖斐関ヶ原養老国定公園(いびせきがはらようろうこくていこうえん)に指定され、桜と紅葉の名所としても観光客に親しまれている。

[上島正徳]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「養老ノ滝」の意味・わかりやすい解説

養老ノ滝
ようろうノたき

岐阜県南西部,養老町にある滝。高さ約 30m,幅約 7m。養老山地の北東斜面の断層崖にかかる。周辺は養老公園と呼ばれ,養老神社,養老寺があり,孝子伝説の掬水泉は神社境内にある。揖斐関ヶ原養老国定公園に属する。

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世界大百科事典(旧版)内の養老ノ滝の言及

【滝】より

…奈良県の滝田神社の4月4日の祭りには,ネゴという川魚を供え,大和川の急流に放つという神事があるが,これは水神に対する祭りである。岐阜県の養老ノ滝の水は清浄で霊験があると信じられている。この水を飲むと病気が治るとも,老人が若返りするという言い伝えが残っている。…

※「養老ノ滝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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