翻訳|food
( 1 )上代から「動物の食料」を意味するものとして広く用いられたが、中世以降、「えば」が使われることも少なくなかった。
( 2 )江戸中期には、①の意では「えさ」、③の意では「えじき」が現われ、意味領域が分割され固定化された。この結果、多くの場合、「え」は、これらの語彙の文章語となったり、複合語として残るなどした。
一般に動物は食物という形で必要な栄養を取り込まなければならない。この場合の食物がもっとも基本的な意味での餌であり,餌をとることを摂食(または採食,採餌)という。
何を餌とするかは動物によって異なり,動物を食べるもの(肉食),植物を食べるもの(草食),両方を食べるもの(雑食)などの区別がある。とくに生きた動物を捕らえて食う場合を捕食predationと呼び,食うほうを捕食者predator,食われるほうを獲物(または被食者)preyという。食うものと食われるものとの関係は食物連鎖を形成して自然界の生態的平衡を維持するうえで重要な役割を果たしている。それぞれの動物は餌となるものの性質や分布に合わせて独特の器官や摂食習性を発達させている。
独力で餌をとることのできない雛や子どもに対しては親が餌を与える必要があり,これを給餌という。家畜,ペット,実験動物などのように,餌がとれない環境に置かれたり,餌をとる能力を失ったものについても,人間が餌を与える必要があるが,その場合の餌は特に飼料feedやペットフードと呼ばれる。
野生の動物を人間が狩猟(あるいは漁労)する場合には,それぞれの動物の摂食習性を利用することが多い。この場合は餌がおとりとして使われているわけである。魚釣りやザリガニ釣りあるいは猛獣のわななどでは本物の餌が用いられるが,ルアーフィッシングにおける擬餌針のように餌に似せたものでおびき寄せることもある。
生物の中にも,チョウチンアンコウのように体の一部を餌に似せて獲物をおびき寄せているものがある。
→食性
執筆者:日高 敏隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…いずれにせよ,もち米を蒸して臼に入れ,杵で搗(つ)いたうえで,いろいろの形につくったものを餅の字で表してきたのであるが,餅という漢字は日本独自の使い方であり,中国の用法とはまったく異なっている。風俗学者で食物史家の篠田統(おさむ)(1899‐1978)によると,中国では饅頭(マントウ),餃子(チアオズ)などの小麦粉製品の総称が餅(ピン)であり,小麦粉そのものが麵(ミエン),小麦以外の穀物(米,アワ,キビ,豆など)の粉製品を餌(アル)といい,餌がのちに細かく分かれ,よくこねて大きいままで蒸したものを餻(カオ),小さくまるめて蒸したものを円(ユワン)(とも),円の中に餡を入れたのを団(トワン),米を粒のまま蒸してから搗いたのが餈(ツー)であるという。すると中国の餈が日本の餅にあたるわけであるが,日本では餈は粢(しとぎ)のことである。…
…人間の発育,生存のために外部から摂取するもの。一般的には〈有害物を含まず,栄養素を1種類以上含んでいる天然物あるいは人工的に加工したもので,食用に供されるもの〉と定義される。類似のことばに食糧,食料,食物あるいは食べ物などがあるが,食糧あるいは食料というと,生産面を重視し,食品あるいは食物は消費面を重視したときに用いられるのが通例である。また食物については,〈食品と嗜好(しこう)品とを適当に配合して,そのまま食べられるように加工,調理したもの〉と定義して,食品と区別して扱うこともあるが,これらのいずれの語も,相互に本質的な相違があるわけではない。…
…しかし,海区における釣りには,まだこうした徹底した規制,保護対策はほとんどみられない。
【釣道具】
釣道具の種類については北宋の学者邵雍の《漁樵問対》から〈釣りに六物あり,一,具わらざれば魚得べからず〉がよく引用されるが,その六物とは釣りざお,釣糸,釣針,うき(浮き),おもり,餌を指している。
[釣りざお]
西洋では材木でつくった長くて太いものが使われていたが,18世紀には熱帯アメリカ産の弾力のある木を用いた張合せのものや竹製のものがつくられ,格段の進歩を示した。…
※「餌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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