饅頭屋宗二(読み)まんじゅうやそうじ

精選版 日本国語大辞典 「饅頭屋宗二」の意味・読み・例文・類語

まんじゅうや‐そうじマンヂュウ‥【饅頭屋宗二】

  1. 室町後期の歌人歌学者渡来人出身。号は林逸。奈良に住み、歌学牡丹花肖柏に学び、奈良伝授を伝え、「源氏物語」の注釈「林逸抄」を著わした。また、「饅頭屋本節用集」を刊行したといわれ、他に漢詩文抄写した書もある。明応七~天正九年(一四九八‐一五八一

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改訂新版 世界大百科事典 「饅頭屋宗二」の意味・わかりやすい解説

饅頭屋宗二 (まんじゅうやそうじ)
生没年:1498-1581(明応7-天正9)

戦国~安土桃山時代の商人学者。姓は塩瀬,名は安盛,字は桂室,林逸・方生斎と号した。父は道太。その祖は1349年(正平4・貞和5)建仁寺の竜山徳見の帰国に従って来日した宋人林浄因で,奈良に住して姓を塩瀬と改め,饅頭屋を業とした。宗二は京都に生まれ,はやく奈良に下り,松永久秀の後援を受けて南都中の饅頭を独占的に商った。家業のかたわら連歌肖柏に学び,和歌もよくした。のち漢学にも力をいれ,清原宣賢三条西実隆吉田兼右らに師事した。彼は宣賢の所蔵本その他多くの書籍を手写し,《長恨歌抄》《東坡詩抄》などの唐宋詩文の抄写が建仁寺などに多く残されている。また多聞院英俊ら南都の僧と親交があった。著書として《源氏物語林逸抄》54巻が有名であり,《饅頭屋本節用集》の刊行者とも伝えられている。その子に又六宗枯および建仁寺住持梅仙東逋がおり,孫宗伯も学業に秀でた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「饅頭屋宗二」の意味・わかりやすい解説

饅頭屋宗二
まんじゅうやそうじ
(1498―1581)

戦国時代の町人学者。姓は林(はやし)氏。号は林逸(りんいつ)。京都に生まれ、奈良に住んで饅頭を商った。先祖は14世紀なかばに中国より帰国した禅僧竜山徳見(りょうさんとくけん)(1284―1358)について来日した林浄因(りんじょういん)で、子孫代々饅頭屋を営んだという。宗二は営業のかたわら学問を愛好し、蔵書家としても聞こえ、『源氏(げんじ)物語林逸抄(りんいつしょう)』(54巻)を著述し、国語辞書の『饅頭屋本節用集(まんじゅうやぼんせつようしゅう)』を刊行した。学殖が深く、奈良の僧侶(そうりょ)に教えたほどである。その子息に、建仁寺(けんにんじ)(京都市東山区)の住持となった梅仙東逋(ばいせんとうほ)がいた。

[横井 清 2018年10月19日]


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山川 日本史小辞典 改訂新版 「饅頭屋宗二」の解説

饅頭屋宗二
まんじゅうやそうじ

1498~1581.7.11

戦国期~織豊期の和漢学者。姓は林で,「りん」とも「はやし」ともよんだ。名は逸。法名を桂室宗二居士という。南北朝期に来朝した林浄因(りんじょういん)の子孫で,浄因以来奈良に住み饅頭屋を家業としたことから通称でよばれる。牡丹花肖柏(ぼたんかしょうはく)に古今伝授をうけて奈良伝授の嚆矢となり,三条西実隆に学んで「源氏物語林逸抄」を,清原宣賢に学んで「毛詩抄」「春秋左氏伝抄」を著し,五山僧とも交わって「山谷詩抄」「江湖風月集抄」なども著した。「饅頭屋本節用集」の著者に擬せられるが確証はない。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「饅頭屋宗二」の意味・わかりやすい解説

饅頭屋宗二
まんじゅうやそうじ

[生]明応7(1498).京都
[没]天正9(1581).奈良
戦国時代の町人学者,歌人。姓は林氏。字は桂堂,号林逸。南北朝時代に渡来した林浄因の子孫という。まんじゅう屋を職とした。非常な蔵書家で,また連歌を牡丹花肖柏に,学問は清原宣賢,吉田兼右に,『古今集』の奈良伝授を肖柏より受けた。著書に『源氏物語林逸抄』 (54巻) があり,その他『六とう私抄』『饅頭屋本節用集』などがある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「饅頭屋宗二」の解説

饅頭屋宗二 まんじゅうや-そうじ

1498-1581 戦国-織豊時代の商人,学者。
明応7年生まれ。南北朝時代に来日した宋(そう)(中国)の林浄因の子孫。奈良で饅頭屋をいとなむ。清原宣賢(のぶかた),吉田兼右(かねすけ),肖柏(しょうはく)に学問・連歌をまなび,「源氏物語林逸抄(りんいつしょう)」をあらわした。「饅頭屋本節用集」を刊行したという。天正(てんしょう)9年7月11日死去。84歳。京都出身。姓は林。名は安盛。字(あざな)は桂室。号は林逸,方生斎。

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旺文社日本史事典 三訂版 「饅頭屋宗二」の解説

饅頭屋宗二
まんじゅうやそうじ

1498〜1581
戦国時代の歌人
号は林逸。奈良の町人。牡丹花肖柏から古今伝授をうけた。著書として『源氏物語林逸抄』,唐宋詩文の抄写などがある。また『饅頭屋本節用集』は彼の刊行という。

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