戦国~安土桃山時代の商人,学者。姓は塩瀬,名は安盛,字は桂室,林逸・方生斎と号した。父は道太。その祖は1349年(正平4・貞和5)建仁寺の竜山徳見の帰国に従って来日した宋人林浄因で,奈良に住して姓を塩瀬と改め,饅頭屋を業とした。宗二は京都に生まれ,はやく奈良に下り,松永久秀の後援を受けて南都中の饅頭を独占的に商った。家業のかたわら連歌を肖柏に学び,和歌もよくした。のち漢学にも力をいれ,清原宣賢,三条西実隆,吉田兼右らに師事した。彼は宣賢の所蔵本その他多くの書籍を手写し,《長恨歌抄》《東坡詩抄》などの唐宋詩文の抄写が建仁寺などに多く残されている。また多聞院英俊ら南都の僧と親交があった。著書として《源氏物語林逸抄》54巻が有名であり,《饅頭屋本節用集》の刊行者とも伝えられている。その子に又六宗枯および建仁寺住持梅仙東逋がおり,孫宗伯も学業に秀でた。
執筆者:山本 博文
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戦国時代の町人学者。姓は林(はやし)氏。号は林逸(りんいつ)。京都に生まれ、奈良に住んで饅頭を商った。先祖は14世紀なかばに中国より帰国した禅僧竜山徳見(りょうさんとくけん)(1284―1358)について来日した林浄因(りんじょういん)で、子孫代々饅頭屋を営んだという。宗二は営業のかたわら学問を愛好し、蔵書家としても聞こえ、『源氏(げんじ)物語林逸抄(りんいつしょう)』(54巻)を著述し、国語辞書の『饅頭屋本節用集(まんじゅうやぼんせつようしゅう)』を刊行した。学殖が深く、奈良の僧侶(そうりょ)に教えたほどである。その子息に、建仁寺(けんにんじ)(京都市東山区)の住持となった梅仙東逋(ばいせんとうほ)がいた。
[横井 清 2018年10月19日]
1498~1581.7.11
戦国期~織豊期の和漢学者。姓は林で,「りん」とも「はやし」ともよんだ。名は逸。法名を桂室宗二居士という。南北朝期に来朝した林浄因(りんじょういん)の子孫で,浄因以来奈良に住み饅頭屋を家業としたことから通称でよばれる。牡丹花肖柏(ぼたんかしょうはく)に古今伝授をうけて奈良伝授の嚆矢となり,三条西実隆に学んで「源氏物語林逸抄」を,清原宣賢に学んで「毛詩抄」「春秋左氏伝抄」を著し,五山僧とも交わって「山谷詩抄」「江湖風月集抄」なども著した。「饅頭屋本節用集」の著者に擬せられるが確証はない。
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