コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

駅前旅館

世界大百科事典 第2版の解説

えきまえりょかん【駅前旅館】

東宝の喜劇映画で,1958年製作。以後,シリーズ化され,69年の《喜劇駅前桟橋》まで計24作続いた。製作は東宝の子会社,東京映画。いずれも森繁久弥,伴淳三郎,フランキー堺のトリオを主役に,毎回変わる設定のなか,3人の持味を生かし,人情コメディを基本に,ドタバタ喜劇の活力,社会風俗の同時代性,新旧世代の心情の違いによる哀感などを巧みに取り入れ,人気を博した。《駅前旅館》は,井伏鱒二の同名小説を原作とする豊田四郎監督作品で,上野駅前の旅館の番頭(森繁)とライバル旅館の番頭(伴淳)と旅行社の添乗員(フランキー)を中心に(この3人の芸達者の〈芸〉が大きな見せどころになる),移りゆく旅館街のてんやわんや,お色気騒動などが描かれ,風俗映画の佳作となっている(例えば地方から慰安旅行に出てきた新興宗教団体の一行に〈今流行のドカビリを見せてけれ〉と請われたフランキー堺が三味線をギターに見たててロカビリー歌手を熱演すると,そのリズムに乗った一行から賽銭が飛んでくるといったシーンがある)。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内の駅前旅館の言及

【旅館】より

…また,客室についても,旅籠は大部屋で,客は相部屋であったが,部屋を壁で仕切って個室形式とし,床の間を付けるようなものが現れた。こうした新しい宿泊施設は,明治以降の鉄道の発達とともに,かつての街道筋の宿場に代わって,鉄道の駅周辺に建設され,それが駅前旅館となった。一方,温泉場が楽しみを目的とする旅行の目的地となるに従って,観光旅館が登場した。…

【喜劇映画】より

…コメディアンも1人で観客を動員することが困難になっていった。東宝を例にとれば,《三等重役》(1952)に始まる《社長》シリーズ(サラリーマン喜劇)と,《駅前旅館》(1958)に始まる《駅前》シリーズ(商売喜劇)は,いずれも,森繁,伴淳三郎,フランキー堺,三木のり平らを軸にした〈喜劇人総出演〉型である。そうした中で,植木等主演の《ニッポン無責任時代》(1962)は,サラリーマン喜劇に属しながら,陽気なピカレスクの輝きを見せ,異彩を放つが,シリーズ化された後続の作品は平凡なものとなった。…

※「駅前旅館」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

駅前旅館の関連キーワード浪花 千栄子都家 かつ江驥足を展ばす森繁 久弥豊田屋旅館旧日下旅館東横イン東宝

今日のキーワード

OAR

2018年の平昌五輪に国家資格ではなく個人資格で参加したロシア国籍の選手のこと。「Olympic Athlete from Russia(ロシアからの五輪選手)」の略。14年ソチ五輪での組織的なドーピ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

駅前旅館の関連情報