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即位や朝賀などの大礼のさいに使用される天皇の座所。はじめ大極殿(だいごくでん)の中央に常置されていたが,その廃亡とともに紫宸殿(ししんでん)に置かれた。唐制を模したもので,南を正面とし,西東北の3方に階段をつけた約5mの方形,高さ約1mの基壇の上に,高さ約3mの八面の屋形を組む。屋根は神輿の形に似た八角,中央に大きな鳳凰,おのおのの隅に蕨手の飾を出し,その上に小さな鳳凰を立て,玉旛を下げる。破風の南北に各5面,その他六方には各3面の鏡と,その間に白玉を唐草で囲んだ彫物を立て並べる。金銅の彫物の帽額(もこう)に,裏が緋の紫綾の御帳帷を掛ける。天井中央に大きな円鏡をはめ,床に差し筵(むしろ)を敷く。その上に繧繝端(うんげんべり)の大畳2帖,中敷1枚,唐軟障錦端(からのぜじようきべり),東京錦(とうぎようき)の茵(しとね)と重ねて玉座とし,座の左右に剣璽の台を置く。基壇につけた勾欄を朱塗とし,全体を黒塗とする。現存のものは,京都御所紫宸殿にあり,大正・昭和の即位のさいに用いられた。古式にのっとって造られたが,玉座は茵に代わって椅子となり,東に皇后の御帳台(みちようだい)が新しく加えられた。
執筆者:平林 盛得
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
即位、大嘗会(だいじょうえ)、朝賀(ちょうが)などの儀式のときに天皇の着す座。皇位そのものも意味する。平城宮では大極殿(だいごくでん)に、平安宮では大極殿・豊楽(ぶらく)殿・武徳(ぶとく)殿に設けられた。1177年(治承1)に大極殿が焼亡したのちは、紫宸(ししん)殿に設けられたこともある。現在京都御所の紫宸殿には大正・昭和・平成の即位式に使用されたものが残されている。
大極殿の母屋(もや)の中央に二段の壇をつくり、東西北三方に階(かい)を設け、8本の柱を立てて八角形の屋形(やかた)を据える。その蓋(かさ)の上には大小の鳳凰(ほうおう)の像と鏡を飾り、屋形の各面には玉幡(ぎょくはん)(玉を連ねて旗のようにしたもの)を垂らし、綾(あや)の帳(とばり)をかけ、周囲の壇上には綾布を敷き詰める。内部には畳や茵(しとね)を重ね、天皇の座を設けた。
しかし、政治の場が内裏に移行するにつれて、大極殿は荒廃していったらしく、『大鏡』には藤原道長(みちなが)の豪胆さを示す話として、若いころ大極殿に胆試(きもだめ)しに行き、証拠品として高御座の柱を少し削って持ち帰ったことが書かれている。
[吉田早苗]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…前者の藤原宮型の朝堂院は,北から大極殿・朝堂・朝集殿が並ぶ。大極殿は天皇の出御の殿で,高御座を設ける。周囲を回廊で囲み,藤原宮では2面に東殿と西殿をおき,平城宮第2次以降は後殿を設ける。…
※「高御座」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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