(読み)ハク

デジタル大辞泉 「魄」の意味・読み・例文・類語

はく【魄】[漢字項目]

[音]ハク(漢) [訓]たましい たま
人の肉体に宿り、活力を生み出すもの。たましい。「気魄魂魄
月のかげ部分。「生魄
落ちぶれる。「落魄

はく【×魄】

たましい。精神をつかさどる陽の気をこんというのに対し、肉体をつかさどるという陰の霊気
がくはわが魂と共に、わが耳によりてわが―を動かせり」〈鴎外訳・即興詩人

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精選版 日本国語大辞典 「魄」の意味・読み・例文・類語

はく【魄】

  1. 〘 名詞 〙 たましい。精神をつかさどる陽の気を魂というのに対して、陰の気に属して肉体をつかさどり人の成育をたすけるといわれるもの。
    1. [初出の実例]「魂は善所にありながら、魄はこの世にとどまりて」(出典:謡曲・実盛(1430頃))
    2. [その他の文献]〔春秋左伝‐宣公一五年〕

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普及版 字通 「魄」の読み・字形・画数・意味


15画

[字音] ハク
[字訓] たましい・からだ・しろい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は白(はく)。白は頭顱(とうろ)の形で髑髏(どくろ)。精気を失ったものを魄という。〔説文〕九上に「陰のなり」とあり、生を陽、死を陰とする。〔淮南子、主術訓〕に「地の氣を魄と爲す」、〔礼記、祭義〕に「氣なるんなるなり、魄なるは鬼のんなるなり」とみえる。金文に月相四週の名を初吉・既生覇(きせいは)・既望・既死覇(きしは)とし、文献には生魄・死魄の字を用いる。(覇)は獣屍の暴露した(は)を、月色に及ぼしたもので、光を失ったさまをいう。〔礼記、郊特牲〕に「魂氣は天に歸し、形魄は地に歸す」とみえ、魂魄は死して分離するものとされた。

[訓義]
1. たましい、陰の気。
2. からだ、かたち。
3. しろい、月の青白い部分、覇と同じ。死魄。
4. 落魄、おちぶれる、うらぶれる。

[古辞書の訓]
名義抄〕魄 メタマシヒ・タマシヒ・キハマル・アヒダ・オモヒ・ムラガル/魂魄 タマシヒ/魄 オチブル 〔立〕魄 ツイタチ 〔字鏡集〕魄 キハマル・タマシヒ・アヒダ・サキタマ・ウカノミタチ(マ)

[語系]
魄pheak、peakは声近く、はもとに作り風雨にさらされた獣皮、それで光を失った月光という。魄も精気を失ったものをいう語で、月相の既死覇をまた既死魄という。

[熟語]
魄悸魄散魄心・魄然・魄兆・魄魄奴・魄・魄魄門魄慮魄力
[下接語]
営魄・円魄・怨魄・魄・魄・魄・気魄・毅魄・欺魄・玉魄・形魄・月魄・魂魄・死魄・失魄・初魄・心魄・生魄・精魄・素魄・喪魄・体魄・奪魄・地魄・飛魄・芳魄・亡魄・夜魄・幽魄・妖魄・落魄・魄・霊魄・麗魄

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【鬼】より

…中国において,死者の霊魂を意味する。人間は陽気の霊で精神をつかさどる魂と,陰気の霊で肉体をつかさどる魄(はく)との二つの神霊をもつが,死後,魂は天上に昇って神となり,魄は地上にとどまって鬼となると考えられた。鬼は神とともに超自然的な力を有し,生者に禍福をもたらす霊的な存在であるが,特に天寿を全うすることができずに横死した人間の鬼は,強い霊力を有し,生者に憑依(ひようい)し祟(たたり)をなす悪鬼となるとして恐れられた。…

【魂魄】より

…人間の精神的肉体的活動をつかさどる神霊,たましいをいう。古代中国では,人間を形成する陰陽二気の陽気の霊を魂といい,陰気の霊を魄という。魂は精神,魄は肉体をつかさどる神霊であるが,一般に精神をつかさどる魂によって人間の神霊を表す。…

【地霊】より

…また死者の魂や祖霊を地霊とみなす地方もある。中国では人間の霊力は魂(こん)と魄(はく)の2種に分かれ,魂は陽の気となって天へ,魄は陰の気となって地に還(かえ)ると信じられた。地霊は山や泉,岩や洞窟などにも宿ると考えられた。…

※「魄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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